
東京都美術館で開催中の「永遠の都ローマ展」に行った。
ローマ展としては、2009年に「古代ローマ帝国の遺産展」が西洋美術館であった。
(その時の記事は、こちら)。それははローマ+ポンペイに的を絞った展覧会で、
今回は、ローマのカピトリーノ美術館のコレクション展。今年は明治政府が、
ローマに岩倉具視使節団を派遣して150年、これに因む企画。
ローマ展としては、2009年に「古代ローマ帝国の遺産展」が西洋美術館であった。
(その時の記事は、こちら)。それははローマ+ポンペイに的を絞った展覧会で、
今回は、ローマのカピトリーノ美術館のコレクション展。今年は明治政府が、
ローマに岩倉具視使節団を派遣して150年、これに因む企画。
カピトリーノ美術館のお宝は、チラシにあるように、カピトリーノのヴィーナス。
少し恥じらいを含んだ肢体は、どの角度から見ても美しいので、台にのせられた
姿をぐるりと一周してみることができるように、部屋の中央にある。
少し恥じらいを含んだ肢体は、どの角度から見ても美しいので、台にのせられた
姿をぐるりと一周してみることができるように、部屋の中央にある。

もうひとつの目玉作品は、威風堂々の「コンスタンティヌス帝の巨大彫刻」。
頭だけで1.8m。出品作は、複製だが、その大きさと重量感に驚く。
頭だけで1.8m。出品作は、複製だが、その大きさと重量感に驚く。
そのままの形で残ってはいないので、大きな足や手は別に展示されている。
強いまなざしに圧倒される。コンスタンティヌス帝はキリスト教を公認し、
第2のローマとして、コンスタンティノープルに遷都をした。
強いまなざしに圧倒される。コンスタンティヌス帝はキリスト教を公認し、
第2のローマとして、コンスタンティノープルに遷都をした。

ローマを作ったのは、オオカミに育てられてロムルス・レムス兄弟との
言い伝えがあるので、オオカミの乳を飲むロムルス・レムルスの彫刻があった。
修復したのだろう、光り輝くほど綺麗だった。
言い伝えがあるので、オオカミの乳を飲むロムルス・レムルスの彫刻があった。
修復したのだろう、光り輝くほど綺麗だった。

写真はないが、私が惹きつけられたのは、大理石の彫刻「豹と猪の群像」。
太った猪より、ずっと体の小さい豹が猪の体の下に入りこみ、首をがぶっ、
の瞬間。弱点をわかっているのだ。迫力ある彫刻だった。
太った猪より、ずっと体の小さい豹が猪の体の下に入りこみ、首をがぶっ、
の瞬間。弱点をわかっているのだ。迫力ある彫刻だった。
13世紀初頭の美しいモザイク。「ローマ教会の擬人像」。
隣に「教皇グレゴリウス9世の肖像」のモザイクもあった。
隣に「教皇グレゴリウス9世の肖像」のモザイクもあった。

BC1世紀頃 「イシスとして表わされたプトレマイオス朝皇妃の頭部」
(注:イシスはエジプトの女神)
(注:イシスはエジプトの女神)

ハドリアヌス帝時代後期:デュオニソスの頭部
女性の頭部は他にも、あったが、どれも、髪型が凝っていて面白い、と
思ったけど、ん?デュオニソスはワインの神。男でしょ。調べたら、デュオニソス
は、両性具有のようにやさしい顔立ちで描かれることが多いのだそう。
女性の頭部は他にも、あったが、どれも、髪型が凝っていて面白い、と
思ったけど、ん?デュオニソスはワインの神。男でしょ。調べたら、デュオニソス
は、両性具有のようにやさしい顔立ちで描かれることが多いのだそう。

皇帝アウグストゥスの肖像。(1世紀初頭)
アウグストゥスはローマ帝国の初代皇帝。シーザーの養子。
アウグストゥスはローマ帝国の初代皇帝。シーザーの養子。
クレオパトラとアントニウスの艦隊を破り、エジプトを併合、絶大な権力を持ち、
全土に平和をもたらし人民からも尊敬された。

全土に平和をもたらし人民からも尊敬された。

カラカラ帝の肖像 (212年)
カラカラ帝の大浴場で有名な皇帝だが、暴君ネロよりもひどいと言われて
いるそう。悪そうな顔つき。


ローマの中心部で、ひときわ高い柱が、トラヤヌス帝記念柱。30m、台座を入れると38m。
柱には、トラヤヌス帝がルーマニアと戦って勝利した時の様子が彫られている。その一部分
のレプリカが展示されていて、撮影可だった。
柱には、トラヤヌス帝がルーマニアと戦って勝利した時の様子が彫られている。その一部分
のレプリカが展示されていて、撮影可だった。
カピトリーノ美術館は、世界的に最も歴史の古い美術館で、ルネサンス時代に
教皇シクストゥス4世が、ローマ市民に4点の古代彫刻を寄贈したのが起源であり、
18世紀にはローマの名家からの絵画も加わった。
教皇シクストゥス4世が、ローマ市民に4点の古代彫刻を寄贈したのが起源であり、
18世紀にはローマの名家からの絵画も加わった。
絵画は、さほど多くない。
ピエトロ・ダ・コルトーナ「教皇ウルヴァヌス8世の肖像」1624~27年頃
ウルヴァヌス8世は領土を拡大し、教皇国家を史上最大のものにした。
ガリレオに自説を撤回させたが、学問と芸術の擁護者だった。
2本の指を立ててるのは、祝福のしるしである。
ピエトロ・ダ・コルトーナ「教皇ウルヴァヌス8世の肖像」1624~27年頃
ウルヴァヌス8世は領土を拡大し、教皇国家を史上最大のものにした。
ガリレオに自説を撤回させたが、学問と芸術の擁護者だった。
2本の指を立ててるのは、祝福のしるしである。

ドメニコ・ティントレット「キリストの鞭打ち」1590年代
ひときわ、迫力があって目立っていた絵。
ひときわ、迫力があって目立っていた絵。

カラヴァッジョ派の画家「メロンを持つ若者(嗅覚の寓意)」1629年
カラヴァッジョの画風と思ったら、弟子なんですね。
カラヴァッジョの画風と思ったら、弟子なんですね。

私が好きだったのは、グイド・レーニの「ルクレツィア」、
アンニバレ・カラッチの「悔悛の聖フランチェスコ」
アンニバレ・カラッチの「悔悛の聖フランチェスコ」
最後のコーナーは、「カピトリーノ美術館と日本」との関係。
明治時代、美術教材として、ローマ時代の石膏像のレプリカが使われ、
日本人・小栗が制作した「欧州夫人アリアンヌ半身」というのもあった。
明治時代、美術教材として、ローマ時代の石膏像のレプリカが使われ、
日本人・小栗が制作した「欧州夫人アリアンヌ半身」というのもあった。
この記事へのコメント
angie17
Taekoさん見に行かれているかな~と思っていました。
やっぱり!・・と嬉しい気分です(笑)
TaekoLovesParis
展示数がさほど多くないので、さくっと見れて感動というより、お勉強になりました。「ローマ人の物語」を長年にわたって執筆した塩野七生が文化勲章のニュースもうれしいです。
ナツパパ
engrid
Inatimy
ラテン語の「ローマの元老院と人民(市民)」の略語だったんですね。
「ハドリアヌス帝時代後期:デュオニソスの頭部」・・・デュオニソスはギリシア神話の神様。なぜローマ神話のバックスじゃないんだろう? 展示が「永遠の都ローマ展」なのに。
<両性具有のようにやさしい顔立ちで描かれることが多い>というのを読んで、だから、カラヴァッジオのバックスが妖艶なのか・・・と納得。
そんなカラヴァッジョの弟子が描いた「メロンを持つ若者(嗅覚の寓意)」・・・え?これメロンなの?と驚きでした^^;。テーブルの上に小さなナイフらしきものも見えるから、ひょっとしてメロンの皮に切れ込み入れて、フルーツカービング?なんて思ったりもして。
TaekoLovesParis
オリエントに影響され写実、中世は教会中心の美術で非リアリズム、教会中心だから、画一的なのでしょう。次にルネサンスで再び写実になるわけで。。。
TaekoLovesParis
さらに感心が深まりました。政治的にかちっとしたローマなのに、美術では天才が多く生まれ、今でも、イタリアファッションはデザイン・色使いが一味違って好きです。
yk2
オオカミに育てられたロムルスとレムスの像はそういやシエナの街でも所々で見たなぁと、ふと昔の旅の記憶が蘇り、どうしてシエナで?と今更ながら興味を惹かれて調べてみたら、ローマ建国の後王位を巡ってロムロスに殺されたレムスには双子の男子アスキウスとセニウスがいて、逃れて辿り着いたトスカーナで興した都市がシエナとなり、その名はセニウスに因むものだと初めて知りました。
僕はチェーザレへの興味に始まって塩野七生のルネッサンス期諸作は結構読んだつもりだったけど、ローマ物は登場人物の名前を覚えるのが面倒に思えて(そもそも『ローマ人の物語』だとか、めっちゃ長いし!)手を出せなかったんですが、やれやれ、塩野作品のファンだと自らをかたるなら、やっぱりローマを読まなきゃダメなんだよなぁ~と改めて認識致しました(苦笑)。
TaekoLovesParis
シエナは、レムスの息子たちが、ローマから離れた場所に作った都市だったんですね。
チェーザレの舞台は、ピサから始まって、父が住む教皇領ローマへと移るけど、映画でも、教皇庁とか中庭とかは覚えていても、特にローマって意識しないうちに終わりました。塩野七生の本は、次が出るまでに月日があるので、前のことを忘れちゃって、結構、苦労。読んでるときは、面白かったんですけどね。今回、ここに載せた皇帝の顔を胸像でまじかに見れて、顔を覚えたので、少しなじみができました。長い名前といえば、マルクス・アウレリウス・アントニヌス、五賢帝の最後の人だけど、クレオパトラのアントニウスとごっちゃになって混乱したり、でした。
TaekoLovesParis
私も、このデュオニソスは優しい顔立ちで、赤ら顔の酔っぱらったカラヴァッジオの「と大違い、と不思議に思ったんですよ。ローマの神話とギリシア神話、少しづつ違ってる所があって、わかりにくいですね。
「メロンを、、」カボチャのようなメロン、欧州住まいのInatimyさんでも、ご覧になったことがないのね。カービングのために?(笑)想像の世界ですね。