3月に行ったオルセー美術館で「パステル画、ミレーからルドンへ」展を見た。

Pastels De Millet à Redon 7月2日までの会期なので、まだ、やってますね。

Pastels De Millet à Redon 7月2日までの会期なので、まだ、やってますね。
パステル画は、油彩と異なり、紙の粒子に色が残り、揺れ動くような美しさがある。
色や質感の表現が自由自在、ぼかしたり、ハッチング(平行線を重ねて行くことで、
絵に重量感を与える技法)、クロスハッチングで立体感をつけたりできる。
パステル画は、18世紀が黄金時代だった。ビロードのような柔らかい感触が
出せるので、肖像画に多く使われたが、フランス革命で衰退し、19世紀半ばに
復活した。「ミレーからルドンへ」というサブタイトル通り、最初の作品はミレーだった。
こうやって写真になると、パステルとは思えない、実際に見ると、油彩より
柔らかい感じだが、「油彩」と言われれば信じてしまう。
ミレー「マーガレットの花束」1871年 後ろにいるのはミレーの娘。
茶色の紙に黒の鉛筆で描いているそうだ。ミレーはパステル+鉛筆を使った初めて
の画家で作品は好評。パステル画の注文がコレクターからたくさん来た。
市販のパステルや鉛筆でなく、色の粉を粘土で溶いて使ってたそうだ。

色や質感の表現が自由自在、ぼかしたり、ハッチング(平行線を重ねて行くことで、
絵に重量感を与える技法)、クロスハッチングで立体感をつけたりできる。
パステル画は、18世紀が黄金時代だった。ビロードのような柔らかい感触が
出せるので、肖像画に多く使われたが、フランス革命で衰退し、19世紀半ばに
復活した。「ミレーからルドンへ」というサブタイトル通り、最初の作品はミレーだった。
こうやって写真になると、パステルとは思えない、実際に見ると、油彩より
柔らかい感じだが、「油彩」と言われれば信じてしまう。
ミレー「マーガレットの花束」1871年 後ろにいるのはミレーの娘。
茶色の紙に黒の鉛筆で描いているそうだ。ミレーはパステル+鉛筆を使った初めて
の画家で作品は好評。パステル画の注文がコレクターからたくさん来た。
市販のパステルや鉛筆でなく、色の粉を粘土で溶いて使ってたそうだ。

この展覧会は1階の一隅を使って、オルセーの所蔵品だけからの小規模なもの
だったが、かなりの混雑。みんな真剣なまなざしで熱心に見ていた。
普段、公開されていない作品が多いからだろうか。
実際に見て、クレパスで描いたとわかるのは、ベージュ色の紙に輪郭線を
はっきりとって色をつけたこの絵。左上あたりは、地を残してる感じ。
ゴーガン「豚飼いの少女」1889年 小さな絵だが、すぐゴーガンとわかる。

だったが、かなりの混雑。みんな真剣なまなざしで熱心に見ていた。
普段、公開されていない作品が多いからだろうか。
実際に見て、クレパスで描いたとわかるのは、ベージュ色の紙に輪郭線を
はっきりとって色をつけたこの絵。左上あたりは、地を残してる感じ。
ゴーガン「豚飼いの少女」1889年 小さな絵だが、すぐゴーガンとわかる。

ベルト・モリゾ「姉、エドマ・ポンティロン夫人の肖像」1871年
油彩よりやさしい感じに仕上がる。黒い服で、ベルト・モリゾにも似た顔立ち。
エドマが2番目の子供の出産のため実家に帰ってきてた時に描いた。
ベルト・モリゾ3作目のパステル画で、この後200点のパステル画を制作した。
重ね塗りなど細やかな技法で寛いだ表情を描く一方、背景のペールグレー、
花柄のソファーやカーテンはブラシでさくっと仕上げている。
(注:パステルは削って粉にし、テレピン油で溶いたものをブラシ(筆)で描く。
テレピン油は揮発するので、パステルの質感は残る)
油彩よりやさしい感じに仕上がる。黒い服で、ベルト・モリゾにも似た顔立ち。
エドマが2番目の子供の出産のため実家に帰ってきてた時に描いた。
ベルト・モリゾ3作目のパステル画で、この後200点のパステル画を制作した。
重ね塗りなど細やかな技法で寛いだ表情を描く一方、背景のペールグレー、
花柄のソファーやカーテンはブラシでさくっと仕上げている。
(注:パステルは削って粉にし、テレピン油で溶いたものをブラシ(筆)で描く。
テレピン油は揮発するので、パステルの質感は残る)

マネ 肖像画
速いタッチだが正確に人物を捉えている。
作品名を撮り忘れたが、左、服の下にmanet のサインが見える。
モリゾ同様、マネも背景にペールグレーを使うのが好みだった。

これもマネだが、この絵は、いつも1階に展示されている。
写真なので中央に光が入ってて、すみません。混雑してる中、すいた一瞬にスマホ撮り。メモ代わりです。

写真なので中央に光が入ってて、すみません。混雑してる中、すいた一瞬にスマホ撮り。メモ代わりです。

マネの唯一の弟子エヴァ・ゴンザレス。
マネに倣いペールグレーの背景。
エヴァ・ゴンザレス「ローズ色の朝」1874年
化粧台の前で、ローズ色のドレスの女性。はかなさが感じられるのは、
パステルでの柔らかい表現だからなのか。

パステル画で、忘れてならないのは、ドガ。
踊り子のパステル画をたくさん残している。
ドガはデッサンと色彩を統合するためにパステルを用いた。
スナップショットに近い表現を試みている。

ドガ「アイロンをかける女」
「アイロンをかける女たち」という2人の女性の油彩画は有名だが、
これは、スナップショットのようなパステルでの一コマ。

「オペラ座の引き戸の前で話す友達LudocicとAlbert」1879年
こんな場面、見かけますよね。2人はドガの友達。
こういう日常の都市生活の表現にはパステル画の軽さがぴったり。

この時代の郊外での日常生活は、カイユボットのパステル画で見れる。
川に飛び込んで泳ぐ所。当時の水着は縞模様。
ゆったりとした川、爽やかな空気感、ゆらめく大気がパステルだから伝わる。

川に飛び込んで泳ぐ所。当時の水着は縞模様。
ゆったりとした川、爽やかな空気感、ゆらめく大気がパステルだから伝わる。

ルドン「青い帽子の若い娘」
初め、ルドンは、息子アリをモデルにこの絵をデッサンしたが、絵に存在感を与える
ためにパステルを使ってみた。結果、息子の肖像は、180度変わって少女になった。
パステルを使って背景の色彩をバトンのように、色から色へとつなげた。そして、
絵の周りに額縁を描き、花びらのバトンでこれがイリュージョン(幻想)であると
表した。詩的な幻想の世界を描くのにパステルは最適だった。
以後、ルドンはパステル画を多く描くようになったので、この絵は1910年以降作品。

時代は、印象派が旬を過ぎ、後期印象派とよばれることもある象徴主義に
変化していた。象徴主義の画家たちのパステル画として紹介されていたのが、
リュシアン・レヴィ=デュルメル。この展覧会のポスターに使われた絵。
レヴィ=デュルメル「メダルを持つ女」1896年

「魔法使い」La Sorciere 1897年
水色のトカゲが這い、肩にネコ、背後にコウモリの群れ。
恐ろしい絵だが、この魔法使いは美しい顔立ち。

変化していた。象徴主義の画家たちのパステル画として紹介されていたのが、
リュシアン・レヴィ=デュルメル。この展覧会のポスターに使われた絵。
レヴィ=デュルメル「メダルを持つ女」1896年

「魔法使い」La Sorciere 1897年
水色のトカゲが這い、肩にネコ、背後にコウモリの群れ。
恐ろしい絵だが、この魔法使いは美しい顔立ち。

レヴィ=デュルメルは、アルジェリアに生まれ、フランスでラファエル・コランに師事。
その後、陶磁器工場で働き、所長にまでなるが、イタリア旅を機に古典芸術に影響を受けた
作品を描くようになる。作品は圧倒的にパステル画が多い。
オフェーリアやサロメも描いてるが、すでに他の画家の同名のものを見ているので、
好きになれない。
好きだったのは、「La Calanque」
白い石灰岩の断崖絶壁に囲まれた入江、カランク。自然の力のすばらしさを感じる。
光を受けた鈍い水の輝き。エメラルドブルー、青い色のすばらしさ。この絵の前
からは動かない人が数名いた。

その後、陶磁器工場で働き、所長にまでなるが、イタリア旅を機に古典芸術に影響を受けた
作品を描くようになる。作品は圧倒的にパステル画が多い。
オフェーリアやサロメも描いてるが、すでに他の画家の同名のものを見ているので、
好きになれない。
好きだったのは、「La Calanque」
白い石灰岩の断崖絶壁に囲まれた入江、カランク。自然の力のすばらしさを感じる。
光を受けた鈍い水の輝き。エメラルドブルー、青い色のすばらしさ。この絵の前
からは動かない人が数名いた。

この記事へのコメント
ナツパパ
どの絵も素晴らしい出来栄えと拝見しました。
近くに寄ってみたら、パステル画の特徴が分かるのだろうなあ。
やはり絵は見に行かなきゃダメですね。
TaekoLovesParis
色使いが加わりますね。ゴーガン、ドガ、マネ、モリゾ、カイユボット、ルドン、それぞれ違う画風で面白いですね。
おと
yk2
moz
パステル画に焦点を当てて見たことないです。油彩画と違って、パステル画は明るくて繊細な感じがいいものですね。
ミレーのマーガレットの花束、いい絵だなぁ b^^
マーガレットが輝いていてその後ろの女性も・・・とても素敵だなぁと思いました。ドガはもちろんですが、カイユボットのパステル画は初めて見たかもしれなくて。項羽展覧会にも行ってみたいです。
そうそう、久しぶりに展覧会です。マチス、とっても良かったです。認識新たにしてきました。 ^^v
TaekoLovesParis
▲おとさん、免許証やマイナンバーカードの証明写真の背景は鮮明なブルーですが、あれは顔がはっきり見えるようにという効果なんだそうです。このグレーは顔が美しく浮き立って見え、自然さも残し、という色なんでしょうね。黒を多く用いるマネだから、黒の服にも合う色ですし。モディリアーニがジャンヌを描くときに使ったピスタチオ色の背景、私は好きです。
グレーにピンク、水色、やさしい色の組み合わせで、すてきですよね。
▲yk2さん、リンクをつけてぅださったポール・エリューと云う画家の「ポール・エリュー夫人」を見ました。高い位置から見た構図に目を奪われました。色彩も青い紙の上にブルーグレー、さっと刷毛で一塗りの明るいブルー。印象に残ったのもわかります。わたしだって、これが展示されてたら、「わ、ユニークでおしゃれ」って写真撮りましたよ。
この前、yk2さんが記事で、最近はオルセーの絵の紹介サイトが充実していると書いてらしたけど、ほんとそうですね。この絵はずっと娘さんが持ってて、
1968年に寄贈と書いてありました。その娘さんが子供の頃や若い頃のパステル画もサイトで見れて面白かったです。
yk2さんの「昨日見た夢」という最近の記事に、レヴィ=デュルメルの「魔法使い」が紹介されてましたね。何を意味してるのだろう?謎解きなのかしら?って気になる絵ですよね。で、yk2さんの推測では、この魔法使いは、トカゲ、蛇、コウモリなどを使って悪い未来を予測する、心にざわざわ感をもたらす不吉さは横浜美術館の「大鴉」に通じるものがあるというわけですね。あの大鴉は大きくてリアル、羽ばたいたら怖いですね。I hope never see it.
▲mozさん、パステル画は、ものによっては、パステルを砕いて粉にして使い、指でこすってぼかしたりなど、実際に見ないとわからない細かな技法があるので、近くに寄って見れてよかったです。また使う紙の色を残して生かしてるものもありました。逆にミレーのマーガレットの花束は、額のガラスが照明で光って、うす塗りの油彩に見えました。女の子はミレーの娘なので、この絵を描いてるときに丁度、現れたので、「この子も絵に入れると面白い」となったのかしら、など制作の背景を想像できますね。
カイユボットのパステル画は、私も初めて見ました。オルセーで買った絵が150枚載ってるカイユボットの本で、パステル画をざっと探したのですが、この1枚だけでした。貴重かも。
マチス、今までに何回も展覧会はあったけど、大規模な回顧展は、私には初めてなので、絵の変遷が見れるのを楽しみにしてます。mozさんの記事を読んでから行くのか、見てから記事を読むのか、どっちでしょう(笑)
coco030705
さすがオルセーですね。すばらしい絵ばかりです。
「マーガレットの花束」花が柔らかい感じで素敵です。後ろの女性がちょっと不気味なような気もしますが。
「ローズ色の朝」はいかにもパステルかしらという感じ。とても美しいです。
「アイロンをかける女」これは面白い絵ですね。この絵を観ると、この女性がどんな生まれでどう人生を過ごしてきたかが、透けて見えるような気がします。
「オペラ座の引き戸の前で話す友達LudocicとAlbert」もいい絵だなと思います。構図がいいのでしょうか。
「青い帽子の若い娘」は青が効いていますね。ルドンの花の絵、三菱一号館の大きな絵をまた観に行きたいです。
「魔法使い」はおどろおどろしいものがいっぱい。でもあまり嫌なかんじがしないのは、たくさんの色を使わず、魔法使いの女性が美人で怖くないからでしょうか。