18日で終わるので、汐留のパナソニック美術館へ「神坂雪佳展」を見に行った。
このかわいい犬の絵とか下の金魚の絵は、どこかで見たことがある人もいると思う。
この金魚は、丸い金魚鉢に入ってるので、凸面の効果でこんなふうに見える。
これ、一度見たら、忘れられない。
神坂雪佳(1866-1942)は、明治から昭和にかけ、京都を中心に活躍した図案家・画家。
16才で四条派の絵画を学び、23才で図案家の岸光景に師事し、「琳派」に惹かれる。
34才の時、英国グラスゴーの国際博覧会の視察に出かけ、アールヌーヴォーの時代の
ヨーロッパ各地の美術工芸を見てまわり、日本古来の装飾芸術の素晴らしさを再認識し、
「琳派」の研究に励んだ。
この展覧会では、雪佳が手本とした琳派の本阿弥光悦や尾形光琳、乾山、酒井抱一らの
名品を見せ、次に、古典と近代的発想を融合させ、美術と意匠(デザイン)の二つの分野を
往来した多彩な作品を展示していた。
左)琳派、抱一とほぼ同時代人の「中村芳中」の「月に萩鹿図」
右)尾形乾山「唐子図筆筒」
神坂雪佳の弟、神坂祐吉は蒔絵師。
雪佳が下絵を描き、弟が蒔絵作品に仕上げた硯箱「帰農之図蒔絵巻煙草箱」
兄弟でお互いよくわかってるので、粗い下絵でも祐吉は見事な作品に仕上げている。
農夫の顔に大きな貝を嵌めた祐吉の仕事で全体がひきたっていた。
神坂雪佳の図案で、河村静山作の「菊花透し彫り鉢」
乾山ふう。これは鉢なので、茶道の茶わんよりずっと大きい。
いろいろな角度から見れる展示になっていた。
図案家としての雪佳の木版画作品には、のびやかで単純化された美しさがある。
「春の田面」(百々世草より) 下は「奈良の鹿」
木版画集「百々世草」は海外でも人気が高く、2001年にはエルメスの雑誌「LE MONDE D`HERMES」
の表紙「八つ橋」が採用された。十二か月
四季の草花、動物などをモチーフに、ユニークな構図感覚で絵画や屏風作品を制作した。
「杜若図屏風」は、光琳作品を参考に白い花を加えている。「
「春草」、「紫陽花」(十二か月草花図より)
現代にも通じる神坂雪佳の描く草花や動物の「かわいらしさ」は、誰が見ても心癒されると
思う。おすすめの展覧会ですが、18日(日)までで、土日は、予約をしたほうが確実だと
思います。
この記事へのコメント
おと
木版画、良いですね~、みていてホッコリ。
鉢の透かし彫り、白い縁取りにうっとり。
寒くて家に籠もりがちですが、私も美術館に出かけて、美しい作品を見なくっちゃ!って思いました^^
yk2
雪佳の琳派風はtaekoねーさんも文中に書いてらっしゃる「かわいらしさ」が特徴。丸っこく柔らかなフォルムの戯画的な作品が多く、時に西洋のボタニカルアートを思わせる様な抱一・其一ら江戸琳派のリアルでシャープな表現とは雰囲気が異なりますね。その点で雪佳の作風が中村芳中と重なるのは、二人が西の出身だから、なのかなぁ。光琳作品のおっとりした部分を上手に継承しているふうに思えます。
ナツパパ
図案がとても素敵で色合いも好みです...行きたかったなあ。
Inatimy
雪佳の鹿も可愛くて「春日野」のファイル持ってます。
今回の記事で一番気になったのは、尾形乾山「唐子図筆筒」。筆入れなんだろうけれど、
取っ手をつけて、こんなマグカップがあったらいいなぁ、なんて思いました。
珈琲がますます美味しくなりそうな。
gillman
TaekoLovesParis
▲おとさん、木版画は、温かみがあって、私も大好きです。
展示されていた鉢、硯箱などの工芸品は技術が高く素晴らしいので、うっとり眺めてしまうものが多く、良い展覧会でした。そうですね、寒い時期は展覧会で過ごすのもいいですね。
▲yk2さん、私も雪佳の弟が蒔絵師と、ここで知りました。パンフにはやはり共作の鹿の絵の蒔絵箪笥(前期のみ展示)が出ていました。
全部、細見美術館からのもので構成されています。いいものをたくさん持っているなぁと感心しました。抱一の横長の「槙に秋草図屏風」もありました。
そう、描かれた動物の「かわいさ」といったら、、有名な俵屋宗達「双犬図」もありました。これは、退色してなかったら、犬2ひき、もっと生き生きしてたのにと、いつも思います。yk2さんのおっしゃる通り、この丸っこさは、柔らかさは、関西由来なんでしょうね。雪佳より時代はさかのぼるけど、応挙、芦雪の丸っこい犬の可愛さ、江戸の若冲の「百犬図」の犬たちと趣を異にしますね。中村芳中の描く「仔犬」も宗達ふうで愛らしい。って犬の絵の話になってしまったけど。。
▲ナツパパさん、神坂雪佳は今から100年前に活躍したのですが、今もそのデザインは古びないのがすごいですね。琳派は強し、です。
▲Inatimyさん、雪佳の「金魚玉図」のことをInatimyさんと話題にしたのは、もう7年も前のことなんですか。。。以来、私は、「金魚玉図」を見ると、くすっと笑って、inatimyさん!とよびかけてます。
「春日野」のファイル、売ってなかったです。あったら買ったのに。のんびりとした広い丘にデザインされた木々、そして鹿たち、写真を載せてみたのですが、目立ってしまうので、全体のバランスから敢えて削除したけど、、私の思い出のために復活させておきます。
「唐子図筆筒」のマグカップね、良さそう!まさに今によみがえる琳派。
▲gillmanさん、この展覧会は、京都、富山、長野県で開催ののち、最後が東京展でした。京都の細見美術館からのもので構成されているので、また見る機会があると思います。
ふにゃいの
こじんまりした美術館ですけど
見やすくていいですよね。
銀座ついでに(ちょっと離れてますが)
いくのに丁度いいです。
TaekoLovesParis