2月末で終わった展覧会だが、横浜美術館、愛知県立美術館、富山美術館、3館の
20世紀美術のコレクション展なので、展示作品を今後、見る機会もあると思うので、
記事にしておく。
20世紀美術のコレクション展なので、展示作品を今後、見る機会もあると思うので、
記事にしておく。
トライアローグは、三者の話し合いという意味なので、特定の作家、
たとえばピカソの作品を3館のものを並べて展示、比較するという試み。
たとえばピカソの作品を3館のものを並べて展示、比較するという試み。
左から「青い肩掛けの女」1902年(愛知)、「肘掛け椅子で眠る女」1927年(横浜)、
「座る女」1960年(富山)
ピカソの絵は、青の時代、バラ色の時代、キュビズム、新古典主義、シュルレアリズムと
変遷をとげ、第二次大戦後は過去の巨匠作品のアレンジやそれまでのスタイルの混合である。
「青い肩掛け」青の時代、「肘掛け椅子で眠る」シュルレアリズム、「座る女」混合の時代
であり、下の写真「肘掛け椅子の女」1923年(富山)は新古典主義である。
「座る女」1960年(富山)
ピカソの絵は、青の時代、バラ色の時代、キュビズム、新古典主義、シュルレアリズムと
変遷をとげ、第二次大戦後は過去の巨匠作品のアレンジやそれまでのスタイルの混合である。
「青い肩掛け」青の時代、「肘掛け椅子で眠る」シュルレアリズム、「座る女」混合の時代
であり、下の写真「肘掛け椅子の女」1923年(富山)は新古典主義である。
次、ジョアン・ミロの作品も3館のが並んで展示されていた。
左:花と蝶 1922年(横浜) 右:パイプを吸う男 1925年(富山)
「パイプを吸う男」は日本で最初に購入されたミロの作品である。
写真はないが、愛知のは「絵画」で大きめのサイズ。
左:花と蝶 1922年(横浜) 右:パイプを吸う男 1925年(富山)
「パイプを吸う男」は日本で最初に購入されたミロの作品である。
写真はないが、愛知のは「絵画」で大きめのサイズ。
3館のコレクションは、横浜美術館はシュルレアリスム、愛知県立美術館は
ドイツ表現主義、富山美術館は第二次世界大戦以降に特徴がある。
ドイツ表現主義、富山美術館は第二次世界大戦以降に特徴がある。
レジェも3館のものが並んでの展示だった。
これは愛知県立の「「緑の背景のコンポジション」1931年
題名の通り緑色が鮮やか。レジェ作品に多くみられるモチーフ「機械」もある。
横浜美術館の自慢の作品マグリットの「王様の美術館」1966年
これは愛知県立の「「緑の背景のコンポジション」1931年
題名の通り緑色が鮮やか。レジェ作品に多くみられるモチーフ「機械」もある。
パウル・クレーも3館からの作品がたくさんあったが、私が好きだったのは、これ。
メルヘンぽいのだが謎めいている。
「女の館」(愛知)1921年
メルヘンぽいのだが謎めいている。
「女の館」(愛知)1921年
他に3館のものが比較できるよう並べられていたのは、ポール・デルヴォー。
「階段」1948年(横浜)不思議な絵。デルヴォーの絵は夜や朝もやが多いが、
これは眩しい光がさす昼間。
3館作品の比較はいくつもあったが、面白かったのは、マックス・エルンスト。
「少女が見た湖の夢」(横浜)、「森と太陽」(富山)
横浜のは何回も見ている絵で、富山もそれに似ている。
しかし愛知の「ポーランドの騎士」1954年は、色合いからしても他の2つの
重厚な暗さと異なり、青が基調。馬の顔はわかるが、左側に鳥、背景は廃墟?
ハンス・アルプの絵は横浜でいつも見ていたが、その横に愛知の「森」という単純化された木
の形に型どった木材に絵の具を塗って仕上げたオブジェを展示し、傍らのテーブルの上に
彫刻「鳥の骨格」(富山)を置くことによって、アルプコーナーが出来ていた。
「階段」1948年(横浜)不思議な絵。デルヴォーの絵は夜や朝もやが多いが、
これは眩しい光がさす昼間。
3館作品の比較はいくつもあったが、面白かったのは、マックス・エルンスト。
「少女が見た湖の夢」(横浜)、「森と太陽」(富山)
横浜のは何回も見ている絵で、富山もそれに似ている。
しかし愛知の「ポーランドの騎士」1954年は、色合いからしても他の2つの
重厚な暗さと異なり、青が基調。馬の顔はわかるが、左側に鳥、背景は廃墟?
ハンス・アルプの絵は横浜でいつも見ていたが、その横に愛知の「森」という単純化された木
の形に型どった木材に絵の具を塗って仕上げたオブジェを展示し、傍らのテーブルの上に
彫刻「鳥の骨格」(富山)を置くことによって、アルプコーナーが出来ていた。
メレット・オッペンハイム「りす」は、横浜のと富山の、そっくりな2つが並ぶ。
こげ茶色のふさふさの毛と黄色のグラスでリスの形に似せている。
こげ茶色のふさふさの毛と黄色のグラスでリスの形に似せている。
横浜美術館の自慢の作品マグリットの「王様の美術館」1966年
他に、箱詰め作品のジョセフ・コーネル、アルマン、ブルーが特徴のイブ・クライン、
一昨年回顧展があったボルタンスキー、石膏像のジョージ・シーガル。
一昨年回顧展があったボルタンスキー、石膏像のジョージ・シーガル。
コンバイン・ペインティングのロバート・ラウシェンベルグ、ポンピドー美術館で
展覧会を見たのだが良さがわからなかった。今回の「ボーリアリス・シェアーズ」
(富山)も私には、、。
展覧会を見たのだが良さがわからなかった。今回の「ボーリアリス・シェアーズ」
(富山)も私には、、。
そして鮮やかな色彩を放つリヒターの「オランジェリー」1982年(富山)
こんなにたくさんの20世紀美術が集まることは初めてのことだと思う。
外国の美術館で見て馴染みのアーティストの作品に会えて、面白かった。
展示のしかたも、関連付けの工夫が随所に見られ、楽しかった。
外国の美術館で見て馴染みのアーティストの作品に会えて、面白かった。
展示のしかたも、関連付けの工夫が随所に見られ、楽しかった。
今、人気のリヒターを先駆けて購入などの富山県立美術館に行ってみたいと思う。
この記事へのコメント
ふにゃいの
マネしたようなデザインの表紙がよくありますよね~。
自慢したいのもわかります。
ピカソの座っている女性ということで時代ごとの絵、
並べて見ると面白いですね。
TaekoLovesParis
ピカソ、こうやって並べ比べて見ると、画風の変遷がわかって面白いです。いびつなものばかりでない、とわかりますよね。
yk2
海外からの作品貸し出しに頼れない今後は、こんなふうに国内美術館の作品の貸し借り企画が増えて行くんでしょうね。ピカソはまぁ別格として、デルヴォーやレジェ、クレイなど横浜、富山、名古屋の公立3美術館がともに作品を所蔵しているから並べて比較出来るってのは確かに面白いな、って思いましたが、ちょっと意地悪な見方をするとみんな似た様な方向性でバイングしてて、蒐集に個性が無いふうにも思えちゃいます。第2次大戦後日本の公立美術館が買える作家たちって、ある程度決まってきちゃってたんでしょうねぇ。逆に松方コレクションや大原美術館など財界人が戦前より買い集めた作品群の有り難みをしみじみと感じちゃいました(^^;。
moz
コロナでなかなか外国からの貸し出しは難しいでしょうから、こういう企画展はいいですよね。確かに国内の美術館の収蔵品も素敵なものが沢山あるんだと思います。横浜もシュールレアリズムは目を見張るものが、手に触れられそうなところに展示してあるし、写真も撮り放題です。もう少し収まったら、久しぶりにダリとかマグリットとか見に行きたいです。
ご無沙汰してしまいました。^^;
まだまだ終息までは時間がかかりそうですが、こころ力がなくならないようにしたいと思います。お互い体調には十分注意しましょうね ^^
TaekoLovesParis
▲yk2さん、横浜美術館、23年まで休館とは長いですね。そういえば、アーティゾン美術館はビル建て替えに約5年かかって、開館してすぐにコロナ。行く機会を失ったままです。
日本の公立美術館があちこちで出来始めたのは70年代かしら。山梨県立美術館が78年に大作・ミレーの「種まく人」を買って開館したのは大きな話題になり、東京から見に行きました。県立の場合、購入予算は限定されてますものね。それに比べ私立美術館は大原美術館、アーティゾン美術館のように名作をたくさん持っている所がありますね。日動美術館、ポーラ美術館、東京冨士美術館も名品が多いですね。国立の西洋美術館は別格ですが。
▲mozさん、横浜美術館も見たいリストに入ってたのですね。横浜美術館は彫刻コレクションも好きです。写真が撮れるのがいいですね。
美術館へ行かれないので、時々、過去の展覧会の図録を見たりしていますが、
「こんなのあったけ?」と忘れている場合が多くて、。。
コロナは持久戦になりそうですね。お互いにがんばりましょう。
▲cocoさん、ピカソの新古典主義の時代の真面目な固い画風、新鮮で、美しいですよね。ピカソのデッサン力は卓越しているので、どんなに画風が変化しても貫く力があるんでしょうね。
額がすてきなミロの絵は、横浜美術館のもので、以前に、いいなと思ったので、写真に撮ってありました。「女の館」は、赤が効いてるので、女の家なのだとわかりますね。暗示しているのでしょうね。タイトルから推測したりなど、シュルレアリスムは謎解きですね。
coco030705
先日つけた私のコメントが消えていました!
せっかくTaekoさんからお返事のコメントをいただいていますのに、おかしいですね。他の方のブログでも時々、付けたコメントが消えていることがあるのです。家のパソコンの何かが悪いのでしょうか。
とりあえず、もう一度コメントを思い出して書かせていただきますね。
「ピカソの青の時代の絵と新古典主義の絵が美しく好きです。キュビズムとシュルレアリズムの作品は観ていて楽しいです。
ジョアン・ミロの作品は『花と蝶』が好きです。額もとても優雅で素敵です。
パウル・クレーの『女の館』幻想的で暗い色の中の赤が効いていますね。Taekoさんがおっしゃるように、謎めいています。クレーは好きな画家です。
ポール・デルヴォーの絵は、なんだかおもしろい絵ですね。細かく見て謎解きをして楽しめそう。
マックス・エルンストの『ポーランドの騎士』は、馬はかなりカワイイのですが、他が何が描かれているのかがよくわかりません。でもこの蒼っぽい色彩が好きです。
マルグリットは以前、京都の美術館で展覧会を観ました。すごい想像力だと思いました。
楽しい記事をありがとうございました。」
(今度は消えませんように!)
Inatimy
作品リスト探して他の展示の名前も目を通した中で、気に入ったのが、ロイ・リキテンスタイン「スイレン ― ピンク色の花」。モネの睡蓮とはまた違った良さが。花や葉っぱが可愛い感じで、額まで同じトーンで、作品になってますね。でもタイトルにあるようなピンク色の花ではないんだけどなぁ・・・^^;。
TaekoLovesParis
思い出しながら書いていただいて、お手間をかけて、すみません。
クレーの絵には、やさしさを感じます。色彩が豊かだけれど、品がいいです。音楽が好きでヴァイオリンを演奏したせいか、リズミカルな動きが感じられる絵がありますね。この「女の館」でも横に入った線が五線譜、赤が音符のように見えたり、手前にいる女性と男性が館から音を紡いで持ってきたように見えたりと、突飛な想像もできます。
デルヴォーの絵は、独特だから、見た途端に、「あ、デルヴォー」ってわかりますが、描いてあるものは謎。だから謎解きが楽しめるんですよね。
『ポーランドの騎士』は、いろいろな青、そして白、茶色で構成されて、クールな感じを与えますね。
マルグリットの想像力は、対象を貫いて見ているような感覚、鏡の感覚、あり得ない世界を築き、面白いですね。
cocoさんは、絵をじっくりご覧になって、説明書きを読んで、想像力をめぐらしながら美術鑑賞の楽しさを味わっていらっしゃいますね。書いてくださったコメントからわかります。これからもいろいろな絵を見て経験値を広げていきましょうね。
TaekoLovesParis
リキテンシュタインの睡蓮は、図案化され、点と線だけで表しているけれど、
綺麗ですね。
Inatimy
<Meret Oppenheim Das Eichhörnchen>と、アルファベットの名前と
「りす」のドイツ語の作品名で検索してました^^。
ふにゃいの
キース・ムーン がドラマーの中で一番好きなんです。
短命でしたけどね。
ジョン・ボーナム が2番目に好きなドラマーで。
みんな短命だ…
TaekoLovesParis
照明のせいか、毛の色やビアグラスの色が、だいぶ違ってみえるものもありますね。これは可愛いけれど、代表作「毛皮の朝食」には、たじろいでしまいます。
TaekoLovesParis
そう、ツェッペリンのジョン・ボーナム、いきなり亡くなって、衝撃でしたね。
coco030705
こんばんは。再びのリプライコメントありがとうございます。(=^・^=)
本当にTaekoさんは優しい方です。こうして丁寧に書いてくださって、感激しております。Taekoさんの美術記事は、大変興味深く楽しいのです。私も一美術愛好家として、たくさんの絵を見ていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。
TaekoLovesParis
coco030705
こんにちは。美術番組、大阪でも放映されています。
「日曜美術館」は毎回みています。「ぶらぶら美術館」(個性的ですね)、「美の巨人たち」も時々見ています。とても楽しいです。(=^・^=)
ありがとうございます♪
moz
見たいものリスト、まだリストアップしているものはあって、この前チケット予約したのですけれど、色々考えてキャンセルしてしまいました。 ^^;
でも、美術館、行きたいですね ^^;;
TaekoLovesParis
(残念ながら)平常通勤に戻り、通勤に疲れています。美術館は体力・気力がないと行かれませんね。mozさんがいらした京橋のアーティソンにまだ行けてないので、気になっています。ナイター中継をBSで見るのが、今のささやかな楽しみという状況。
gillman
TaekoLovesParis