泉屋博古館・分館

 泉屋(せんおく)博古館・分館は、東京、六本木1丁目。
泉屋(せんおく)は、江戸時代の住友の屋号。つまり住友家コレクションの美術館。
本館は京都なので、東京は分館。

明日(17日)までは、分館開館10周年記念のコレクション展。
「近代の京焼と京都ゆかりの絵画展」
私は、江戸時代(17世紀)、野々村仁青の作品、初代宮川香山の「孔雀型香炉」
、板谷波山の「ほ光彩磁珍果文花瓶」、木島桜谷の屏風「燕子花図」を目当てに行った。

野々村仁青 「色絵龍田川水指」      ↓ 「白鶴香合」
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紅葉の名所の龍田川なので、水指の口縁に紅葉があしらわれている。
波うつ川の水の灰色、川の護岸の蛇かごの赤、柳の緑、と色の合わせ方が
美しい。柳の木の曲線と波の対応もリズミカル。
すっきりと品が良い肌目で、さりげない美しさ。

「白鶴香合」は、愛らしい。かわいい顔。たたまれた脚があることで、鶴が置物
っぽくなく、いきいきと見える。
「色絵鶏撮丸香炉」(写真なし)
香炉の蓋に鶏の置物のとってがついている。牡丹の模様の赤と緑が美しい。

宮川香山の「孔雀型香炉」(写真なし)、ぐるりとまわって後ろも見える展示。
写真で見ると、広げた孔雀の羽根が金ぴかだったのだが、実際はもっと落ち着いていた。

↓ 京焼きの「三代・清風与平」の青磁に雲の形が浮き出ている花瓶もすばらしかった。
 ひょうたん形が愛らしい。
seifuyohei.jpgitayahazan.jpg

↑ 京焼きではないが、重要文化財で特別出品されてるのが、波山の重文の花瓶。
高さ50センチくらいの大きな花瓶。果物籠に桃、びわ、ぶどうが盛られている絵。
薄いヴェールのような釉薬(ほ光釉)をかけることで、光がとじこめられた風合い。

木島桜谷の「燕子花図」は、鮮やかな金色の絹地に紫のカキツバタ。
光琳のカキツバタより、ずっとモダンで、まさに現代のカキツバタ図屏風。

メトロの六本木1丁目駅を降りると、緑豊かな空間の多いガラス張りの高層ビル、
泉ガーデン。未来的なビル。これを通りぬけて行った所に美術館はある。
駅から近く、雨の日でもあまり濡れずに行けるので、梅雨どきにはおすすめの
場所。落ち着いた雰囲気の中、ゆっくり絵や陶器が見れる。

この記事へのコメント

  • mayu

    Taekoさん、こんにちは^^

    本館は京都ですか♪
    ひょうたん型、ふふふ、可愛いって言っていいか、わかりませんが可愛いです。
    本当に光が閉じ込められてる、ってこんな言い方もするんですね。
    Taekoさん、勉強になります!
    2012年06月16日 16:46
  • TaekoLovesParis

    mayuさん、本館は京都の鹿ヶ谷、住友家が別荘地として買った風光明媚な
    場所だそうです。中国の青銅器や絵画、日本の茶道具、能装束などが中心
    だからあまり馴染みがないでしょうね。国宝2つに重要文化財10という質の
    高いコレクションです。財閥だから、違いますね。
    ヴェールがかかってるようだけど、明るい、そんな優しさのある波山の花瓶
    でした。
    鉢の前では、これに何を盛る?と考えながら、見ていました。
    2012年06月16日 20:19
  • TaekoLovesParis

    よしあきさん、大財閥の住友の第15代当主が、美術品に対する確かな目で、明治中頃から大正時代に集めたものだそうです。個人コレクションで国宝を持つとは、すごいです。
    2012年06月16日 20:24
  • Taekoさん
    交流戦 優勝 おめでとう。
    8年目にして「ついに」と いうか「やっと」
    セントラルリーグのチームの優勝ですね。

    何でも鑑定団に出すと
    高額が付きそうな一品ばかりですね!!。(本物だよ! アタリマエ)
    2012年06月16日 21:07
  • TaekoLovesParis

    匁さん、ありがとう!
    G軍も調子がでてきて、最終日を待たずに交流戦の優勝が決まりました。
    今年は、ダルが抜けて、パが弱くなったから、勝てるチャンスといわれて
    ましたね。杉内の活躍がめざましいし、ホールトンは阿部との相性が良い
    みたいで安心。
    次は、めざせリーグ優勝です。

    何でも鑑定団、面白い番組ですよね。でも、これは出さなくても値打ちが
    わかってるから(笑)。アタリマエってフォローがついてますね。
    2012年06月16日 21:54
  • coco030705

    こんばんは。
    白鶴香合が素敵ですね。かわいいです。
    京都にこの本館があるのは知っていましたが、ちょっと行きにくいところの
    ようです。
    街中にある美術館は行きやすくていいですよね。
    東京は街中にもいい美術館がいっぱいありますね。さすが首都だなと
    思います。また東京へ行きたいです。
    2012年06月16日 23:34
  • yk2

    泉屋博古館の東京分館はあんまり大きくない展示室たった2つだけの小さな美術館ですけど、明治の帝室技芸員絡みの工芸物で目を見張る様な作品を展示してくれるので、その辺りが好きな僕にはとてもとても有り難い美術館です。香山の孔雀型香炉、スキャンして写真送りましょうか?(笑)。
    2012年06月17日 00:07
  • TaekoLovesParis

    宮川香山さんにお詳しいyk2さん、孔雀型香炉の写真、送ってくださいませ。

    明治時代からの陶器の帝室技芸員は5名、そのうち4名の作品が今回ありました。宮川香山、伊東陶山、清風与平、板谷波山。
    工芸品のすばらしいものといえば、ここで一昨年秋に見た「幕末・明治の超絶技巧」展は、清水三年坂美術館からのもの中心で、鈴木長吉の金属の12の鷹が出迎えてくれて、香川勝廣の々とした菊の花の白い花瓶、手が込んだ金工の数々、自在置物を初めて見、正阿弥勝義の名前を知り、と、印象深い展覧会でした。記事にしておけばよかったと、今頃、反省しています。
    ここは、小さいから、疲れることなく見れる美術館ですね。
    2012年06月17日 00:50
  • TaekoLovesParis

    cocoさん、本館のある鹿ヶ谷は、別荘地にするような所だから、交通至便な所じゃないのですね。東京分館は、住友の会館やアパートだった場所ですが、隣接する古くからあった家を購入し、平地にしてビルを建てた大掛かりな都市再生プロジェクトなのです。だから、未来型の建物で、新しい地下鉄がはいって便利になっています。
    絵が好きないとこが、新幹線に乗る前の空き時間で見れるから、東京駅そばのブリヂストン美術館が便利と言ってました。
    2012年06月17日 00:58
  • チョコローズ

    素敵なコレクション。さすが財閥系。
    こんな場所があるのも知りませんでした。行かなくちゃ!!リストに入れておきます。
    母でも連れて行ってみようかな。六本木は詳しくないエリアだけど行ってみよう。
    2012年06月17日 07:50
  • moz

    梅雨の時期は美術鑑賞が良いですよね。
    ゆっくりと、ほかの事をあきらめて? 鑑賞に集中できます。 ^^;
    白鶴香合のたたまれた脚、おっしゃるとおり、素敵です。
    ぼくも昨日、久しぶりに上野に行ってきましたよ。鹿の子も(笑)
    2012年06月17日 09:37
  • pica

    水指は懐かしさを覚える色合いです。
    そして日本的なようで、どこか異国的なモノを
    …上手く言えないけど…感じた私です。

    >柳の木の曲線と波の対応もリズミカル
      この一文、ココロに留まりました。
      私には、こんな気のきいた表現はできません(^_^)
    2012年06月17日 17:27
  • ぶんじん

    先日、たまたまここの横を通りました。こんな感じのコレクションなんですね、知らなかった。
    2012年06月18日 00:01
  • Inatimy

    “写真なし”の分、画像検索して作品見てみました。
    「色絵鶏撮丸香炉」は、なんだかテリーヌ型を思い起こさせるし、
    「孔雀型香炉」は、孔雀の羽根の模様がハートマークのようだし、
    どちらも可愛い♪
    木島桜谷の「燕子花図」も色が鮮やかだからなのか、明るい感じで、
    パッと濃淡の青の花に目が行きますね。
    2012年06月19日 00:11
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲チョコロさん、メトロの「六本木1丁目」を降りてから、ここへの道が、
    おしゃれです。おかあさまをお連れしたら、喜ばれると思いますよ。
    館内にティールームは、ないけれど、泉ガーデンには、お茶する所が
    いくつもありそうでした。私は、お茶じゃなくて、ビール飲んだので。。。

    ▲mozさん、いつも初日狙いのmozさんだから、ベルリン美術館展に、
    もういらしたんですね。鹿の子もお買い上げいただいて(笑)。
    美術館は、写真撮影と違って、天気を選ばないのがいいですね。
    香合は、日本の文化で、いいなぁと、思います。小さいサイズだから、
    かわいいものが多いですね。

    ▲picaさん、水指って、英語で、WaterContainer、水タンクと同じ英語じゃ、
    風情がないですね。磁器のように真っ白じゃないところが、イスラムっぽいかな、
    って、思えます。picaさんが春旅でいらした京都を感じる絵付けですね。
    picaさんのかわいいボーイッシュな表現、私は好きですよ。
    2012年06月19日 22:49
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲ぶんじんさん、「知る人ぞ知る」的な美術館ですが、おすすめです。

    ▲Inatimyさん、写真を検索してみてくださってありがとう。
    「色絵鶏撮丸香炉」、テリーヌ型?私はパウンドケーキ型のような長方体の
    テリーヌ型しか知らなくて。。胴の唐草模様と、蓋の牡丹、色合いが合ってる
    ように思えました。仁青の得意な色ですね。
    「孔雀型香炉」の孔雀の羽根はたしかにハート型、モダンですよね。孔雀が
    まんまる体型なのもかわいいな、と思いました。
    木島=このしま、って読むんですね。桜の花の絵が得意だから、この展覧会
    の前半は、カキツバタ図屏風ではなく、桜と柳の絵の屏風でした。日本画は、
    長く展示すると照明などで、劣化するので、入れ替えがあることが多いのです。
    2012年06月19日 23:09
  • Inatimy

    テリーヌの型で小さめで、ふた部分がニワトリ、ウサギ、牛だったり動物の形してるのがあるんですよ。 または、動物そのものの形だったり。 フランスの古いキッチン用品の本を持ってるんですが、あぁ、Taekoさんにお見せしたい~。 ネットだとterrine en porcelaine やterrine en porcelaineで画像検索すると、よく似たのが出てくるかもしれません。 木島桜谷(このしまおうこく)って、すごい名前ですよね。 桜の谷って雰囲気いいかも。
    2012年06月20日 01:12
  • hatsu

    白鶴香合、たたまれた脚があるんですね。
    今にも動き出しそうで可愛い。
    梅雨どきに、ゆっくり絵や陶器を見る時間、
    素敵ですねー^^
    2012年06月20日 07:00
  • TaekoLovesParis

    Inatimyさん、テリーヌ型のこと、教えてくださってありがとう!
    もともとは丸い陶器の器だったんですね。画像もいろいろ見ました。
    素朴で地方の特色があるもの、かわいいですね。
    テリーヌはテラコッタから派生した言葉なこと、テリーヌをカットしたものが
    パテと知りました。テリーヌとパテの違いは何か材料の配合が違うのかと
    勝手に思ってたんですよ。調べるのも面白かったです。
    2012年06月20日 23:18
  • TaekoLovesParis

    hatsuさん、昨日は、ひどい風の台風でしたね。
    梅雨どきは、引きこもりがちになるけれど、美術館に出かけるのもいいですね。
    陶器は、見ていると、お料理との関連で楽しみがふえますね。
    2012年06月20日 23:20

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