12月27日までというセガンティーニ展を最終日前日に見に行った。
セガンティーニは、2006年Bunkamuraの「スイス・スピリッツ展」で
下のポスターの絵「アルプスの真昼」(1891年)を見て以来のお気に入り。
アルプスの景色の清涼感が爽快で、心に残る絵。
同じタイトルの一年後の作品が大原美術館にあるが、
今回は、2つが並べて展示されていた。
見てわかる通り、さまざまな大きさの点描で描かれている。
点描だから、標高の高い地でも、夏の、のどかさと優しさが伝わってくる。
ミュンヘンの近代美術館でも、セガンティーニのアルプス風景の絵に出会った。
その絵のまわり一帯に、清々しさが伝わっているオーラを私は感じた。
今回は、回顧展なので、セガンティーニの若い頃の作品もあった。
セガンティーニは、イタリアの北部アルコで生まれた。5歳の時、母が亡くなり、7歳で
父が家出、孤児となり、苦労して育つが、絵の才能を見出され、ミラノで修業をした。
ミラノ時代の絵は、色彩も暗く重い印象。国立西洋美術館の「羊の剪毛」もこの時代。
「死んだカモシカ」「白いガチョウ」など、動物をクールベのような観察眼で描いていた。
肖像画も描き、絵描きとして自立できるようになった。
セガンティーニは、結婚をし、光を求めて、スイスアルプスの高原に住んだ。
高原の光の表現のために、色を混ぜない色彩分割法、点描を試み、「アルプスの真昼」
のような傑作が生まれた。美しい風景だけでなく、そこに暮らす人々を活き活きと
描いている。
その後、アルプスの高地でも、さらに標高の高い地へと移り住み、より厳しい自然と
向き合いながら、景色を描く一方、人間の内面にも向き合っている。
この時代の絵画の主流は「象徴主義」であったので、セガンティーニもそれを意識した
作品「虚栄」(1897年)を描いている。
また、幼くして母を亡くしたことから、母性への憧れを象徴主義的な構図で、
パステルで描いたのが「生の天使」(1892年)
私は、「象徴主義」のセガンティーニ作品にも、とても惹かれる。
1900年のパリ万博のパビリオンのために、大作「アルプス3部作、生、自然、死」
の制作を始めたセガンティーニは、制作半ば41歳で腹膜炎で亡くなってしまう。
3部作は、サンモリッツにある「セガンティーニ美術館」から門外不出ということで、
縮小版のパネルが展示されていた。
「アルプス3部作・自然」
サンモリッツの「セガンティーニ美術館」に行ってみたい。。。。
この記事へのコメント
よしあき・ギャラリー
ぶんじん
hatsu
アルプスに、行ってみたくなりました。
匁
《ミュンヘンの近代美術館でも、セガンティーニのアルプス風景の絵に出会った。》
に惹かれました。
4年前の記事にはビールの記事は無いですね?
乾いた空気で飲むミュンヘンビールはさぞかし美味しかったことでしょう。
良いお年をお迎えください。
yk2
TaekoLovesParis
▲よしあきさん、静岡でも開催されたんですね。風景画が多いよしあきさんには、
とても参考になったことでしょうね。この展覧会は、4月に東京でスタートして、数か所に巡回の予定が、震災の影響で東京展中止。地方での展覧会のあとに東京となったそうです。
▲ぶんじんさん、回顧展だと、いろいろな時代の絵が見られるので、絵の変遷が
わかって面白いですよね。
▲hatsuさん、そうでしょー。私もアルプス、行ってみたいです。ちゃんと登れる
ように脚力つけないと、、、、麓のセガンティーニ美術館どまりにならないように、
アルプスめざして、がんばる。
▲匁さん、4年前のミュンヘンは、美術館見たさに、パリからひとりで1泊で、
行ったので、パンと白ソーセージ(ミュンヘン名物)を買ってきて、ホテルの部屋でひとり缶ビールでした。ホッホブロイハウスっていう有名なビアホールがすぐそばだったのですが、ひとりで入る勇気がなく。。以来、食べる飲むが寂しいし、何となく怖いしで、ひとり旅はやめました。
▲yk2さん、セガンティーニ展、見てくださったんですね。「分割主義」は、私もセガンティーニで初めて知った技法です。「アルプスの真昼」で、牧草を見ると、点描ではなく線描であると、はっきりわかるし、さらに山肌、羊の毛、女性の服、どれもが線から構成されているんですよね。点よりも線の方が素朴で強い印象になるから、スーラとはだいぶ違いますね。(色合いも違うし)。この線描、景色だけでなく、「カルロ・ロッタの肖像」でも使われていて、独特の落ち着いた雰囲気が私は好きでした。
「日陰の憩い」という女の人が、バタンと地に伏し休憩している様子に、ちょっと驚きましたが、アルプスの牧草地では、こうやって休憩すると、気持ちがいいんだろうな、とわかり、「ブラングィン展」の後に見た常設のセガンティーニの絵、アルプスの高原、花の草村に大の字になって寝転んでいた少女の絵を思い出しました。
pistacci
行きたかったなぁ~。ばたばたして年末をむかえてます。
前記事を読んでゴヤ展も行きたかったのを思い出しました。
来年はもすこし穏やかに過ごしたいなっておもいつつ、
ことしもありがとうございました。良いお年を~♪
moz
点描、なるほど、濁りの無い、ピュアな光の色彩なんですね。
実物は、大原美術館なんですね。機会があったらみたいと思います。脳内メモリに記憶しておきます(笑)
この展覧会でTaekoLovesParisさんの2011年の展覧会は締めなのですね。
とても素敵な展覧会だったようです。
じぶんは今年はあまりいけませんでしたが、来年はもっと絵を見に行きたいと思っています。
本年はありがとうございました。来年も楽しい食事と展覧会の記事 etc etc ・・・楽しみにしています。
良い年をお迎えください。 m(__)m
krause
また、来年もよろしくお願い申し上げます。
2012年が素晴らしい年になるよう祈願しております。
Inatimy
画家に寄って青空の構成色が違うから、それを見るのも面白そうです♪
TaekoLovesParis
nice&コメントありがとうございます
▲pistaさん、セガンティーニ、なかなかいいでしょ。pistaさんは、雪を見ると、
ウィーンを思いだすかしら。2012年が良い年になるといいですね。
▲mozさん、セガンティーニっていう名前を脳内メモリに入れてくださって、うれしいです。長期記憶の方にお願いしますね(笑)
mozさんの2012年は、まず、元どおりの体力回復ですね。お花の写真とクラシック音楽&ふと気づいたこと(結構面白いです)話題の記事を楽しみにしています。
▲krauseさん、早々にご挨拶をありがとうございます。
こちらこそ、旧年中はお世話になりました。本年もよろしくお願いします。
▲Inatimyさん、青は実に幅広い色ですね。アルプスは上へ登れば登るほど、
空に近づき、空の青も違って見えることでしょうね。標高の違う地点での空が
どう表現されているのか、見てみます。
moz
今年も美味しいもの、素敵なお店、そして展覧会のお話 etc etc ・・・楽しみにしています。よろしくお願いします。
そんなにご期待に応えられるか・・・(笑)
相変わらずで生きますので、よろしくお願いします。 ^^;
お酒は解禁です、但し、すぐ酔っ払います。
TaekoLovesParis
ぼちぼち飲んでくださいな。すぐ酔うほうが経済的でいいじゃないですか(笑)
NHKのニューイヤーオペラコンサート、見てました。トップバッターは、mozさんが
いらした第九の福井敬さんでした。年末、第九が聴きたかったけど、CDがみつからなかったので、フルト・ヴェングラーのバイロイト管弦楽団のを買って、お正月のBGMでした。
Bonheur
セガンティーニ、良いですよね。一番好きな画家です。2010年には、サンモリッツの美術館、チューリヒの美術館は勿論、小さな村にある彼のお墓まで行っちゃいました。
昨年のクリスマスはドイツで過ごしたのですが、ドレスデンの美術館でも彼の絵を見つけ、うっとりしました。彼は自身で雇った召使いを多く描いていますが、人物の脇に小さく描く牛や羊などの動物の姿が愛らしく、「動物を含めて本当にアルプスが好きだったのだなあ」と思わされます。サンモリッツの美術館で私の中で印象に残ったのは、召使いの少女が水飲み場で水を飲む絵だったのですが、その絵は今回来ていたでしょうか?
サンモリッツの美術館、お勧めです、ぜひ行かれてみてください!
TaekoLovesParis
セガンティーニの記事を書きながら、スイスですもの、Bonheurさん、お元気かしら、と思っていたので、コメントいただいて、うれしいです。
やっぱり、セガンティーニお好きなんですね!サンモリッツの美術館にもいらしてるし~、お墓も。一番好きなだけのこと、ありますね。
召使いは、モデルになっている少女っぽい人ですよね。水を飲むのは、、、あったかしら?渓谷や山並み、そして動物たち、澄んだ空気、Bonheurさんがいらしたユングフラウもこういう所なのでしょ。行きたい気持ちが募ります。
Bonheur
セガの書いたアルプスの絵は、主にベルニナアルプス(スイスの東側)なので、スイス中央にあるユングフラウよりも穏やかな感じです。アイガーやユングフラウは、目の前に立ちはだかるのを観ると迫力で圧倒されます。あれ、でもTaekoさんはルツェルンには行かれたことがあるのですよね。インターラーケンやグリンデルワルトには行かれたことはなかったのでしょうか?
TaekoLovesParis
南仏の「ロスチャイルド邸」でしたっけ。
私は冬の寒いモンブラン、エウギュドミディにフランスのシャモニーから
ロープウェイで行きました。風が顔を切るように冷たくて、足は凍りそう、で、
もう行きたくありません。でも、夏は打って変わって美しい!牛も羊ものんびりしていると、セガンティーニの絵とBonheurさんの記事で知りました。
インターラーケン、グリンデルワルトは行ったことがなくて、Bonheurさんの記事をガイド役にいつか必ず!です。グリンデルワルトから見るアイガーの写真、印象に残っています。