2週間くらい前になるが、新国立劇場で、ワーグナーのオペラ「神々の黄昏」を見た。
「ラインの黄金」、「ワルキューレ」、「ジークフリード」、「神々の黄昏」と全4部作の
「ニーベルンゲンの指輪」最終章。
今回は一番長い上演時間で6時間20分。間に45分の休憩が2回。
終わって、劇場を出るとき、同行のオペラ友Mが、「6時間20分!、これでどんな長い
仕事もできる気がします」と、胸を張って言っていた。
観客は、お年を召した方が多く、男性が多いのは、ワーグナーならでは、だが、
70歳位の女性二人組を数組見かけたのが意外だった。たくさんのオペラを見てくると、
ワーグナーは究極のオペラになるのだろうか。
1回目の休憩にサンドイッチの夕食、2回目の休憩のときは、コーヒーの後、
演出家のE先生のお席をたづね、いろいろお話を伺った。
キース・ウォーナーの演出は、メルヘンっぽいけれど、アイディア満載。
「大がかりなセットはいらない、小道具と歌と演技があれば、オペラは成立する
んですよ」と言われ、なるほどね、と思った。
「指輪物語はね、3層になってるんですよ。ラインの川底の地下の世界、人々のいる地上、
神々のいる天上、それらが交わり、絡み合うことで話ができてますね」
前回の主人公「ジークフリート」は、あっけなく殺されてしまう。殺される前に自分の人生を
回想。背景が自分が通ってきた道、場所が示されている大きな大きな地図。
これを見て、彼の人生は、すべて仕組まれていたのねと、見てる私も気付いた。
葬送行進曲にあわせて、ゆっくり、ゆっくりと舞台の奥によろめきながら、歩いていく
傷を負ったジークフリートが可哀そうで、涙がでた。
最後の映写室の場面は、歴史は繰り返すっていう意味なのだろう。
どの場面にも、いろいろな解釈が考えられる謎を含んだ演出だった。
今回もブリュンヒルデ&ジークフリートはよかった。
悪役のハーゲンのダニエル・スメギが歌のみならず、演技も上手い。
グートルーネ役の横山恵子が豊かな声量で、表現力もすばらしかった。
3人のノルンは、愛嬌があって、コーラスがうまかった。
指揮:ダン・エッティンガー
ジークフリート:クリスティアン・フランツ
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
アルベリヒ:島村武男
グンター:アレクサンダー・マルコ=ブルメスター
ハーゲン:ダニエル・スメギ
グートルーネ:横山恵子
ヴァルトラウテ:カティア・リッティング
ヴォークリンデ:平井香織
ヴェルグンデ:池田香織
フロスヒルデ:大林智子
第一のノルン:竹本節子
第二のノルン:清水華澄
第三のノルン:緑川まり
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル
振付:クレア・グラスキン
今年は、桜が咲いてから寒い日が多いので、花もちがいいですね。
うちの近所の桜。
この記事へのコメント
aranjues
6時間20分。苦痛と紙一重ですね。リングを通しで鑑賞するって、
コアなオペラファンにとっては究極の目標ですね。私はモーツァルトフリークですが、
ワグナーのオペラ、特にリングはザ・オペラ、別物だと思っています。私の周りの
オペラファンを見回してもリングをすべてライブで鑑賞した女性は
知りません。お疲れ様でした。休憩時間にアルコールが入らないところは
尊敬します。45分が2回も有ったら最後はほろ酔いで夢ごごちです、きっと(苦笑)。
TaekoLovesParis
私も、眠いけど、aranjuesさんのがんばりに応えて書きます。
モーツァルトがお好きだったんですね。ピアノできくのも弾くのも、モーツァルトですか?
リングは、大変、高尚なものを見たという満足感があります。ドイツものはストーリー自体に精神性が高く、単なる恋愛ものが少ないんですよね。でもね、神の世界、かなりどろどろ。近親相姦あり、ですからね。
前記事のパリで見た「ドン・カルロ」は、以前2回、東京で引っ越し公演を見てるのですが、2回とも休憩にシャンパンを飲んで、うつらうつら夢の世界、チケットが5万円だったから怒られました。今回、初めて寝ないで見れたんですよ。休憩時間は、コーヒーでしたからね。コーヒーは、しゃきっとします。マジメにしなくちゃ、っていう気にさせてくれます。
hatsu
Taekoさんのお話を読んでると、オペラが観たくなります^^
りゅう
さすがTaekoさん、素敵なところにお住まいで。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
6時間20分・・・Σ(ヾ ̄▽ ̄)ヾ!!東フィル凄っ。
ワーグナーの世界にどっぷりで、とても充実した素晴らしい時間を楽しまれたようですね♪
なんだか私の展覧会ハシゴみたいだなぁ。。。
私のはもっとハードですけどね!(=^^=) ニョホホホ
役者さんも演奏者もスタッフもお客さんも、おつかれさまでした。
yk2
taekoねーさん、近頃写真の撮れ具合が変わりましたね。新兵器とはご相性がよろしいようで、今では以前のピンボケ写真が懐かしいです~、と久し振りのコメントで憎まれ口をきいてみる(笑)。
TaekoLovesParis
▲hatsuさん、オペラを見てると、昔から人間は、愛憎、嫉妬、権力志向、といった
ものに悩まされ、振り回され、こんなに生活環境が進歩しても人間の感情は変わらないんだなーって、わかります。でもね、オペラの醍醐味はやはり歌です。特に私は重唱が好きです。二重唱、三重唱、ハーモニーが素敵です。
▲りゅうさん、桜はうきうき気分になりますね。りゅうさんも、うきうきと、六本木で、
上野でたくさん写真をお撮りになってましたね。りゅうさんの記事でミッドタウンの巨大ケーキの写真を見た数日後に、サントリー美術館に行ったので、あのショートケーキにお目にかかりましたよ。
長丁場のオペラは、オケの人たちも、大変ですよね。ずっと緊張してるわけだから。
▲yk2さん、苦行を乗り越えたところに喜びがあるんですよ。達成感という満足もね。なーんて弁明は抜きで、やっぱり観てよかったです。終わったあとでもメロディが
耳に残るし、場面、場面はいろんな解釈ができるから、後から思い出して、あれはこういう意味だったのね、と気づいたりするのも楽しいです。謎解きみたいな、ね。
まだnetのないところへのお泊りが続いてるんですか?久々の登場で、写真をほめてくださってありがとう。えっ、憎まれ口のつもりだったの?
モバイルPC買って、月額380円から~って電車の中でも広告してるWiMaxで、記事書いてくださいよ。
ぎーこ
そんな長いオペラを見れるように、退職したらなれるかしら。
演奏するのも大変でしょう・・・とつい思ってしまいます。
ワーグナーのオペラはオペラの真髄という感じですし、
年配の方も多いのでしょうね。
pistacci
ぅんぅん、ありですね♪ ただ、やっぱり体調を整えておかないとふっと意識が飛ぶときがあります(笑)
匁
これは見る方もプロですね。
この長時間とても座っておれません。
それだけでも敬服します、
roseadagio
ワルキューレまでは見たので、再演されたら観にいきたいです。それまで元気ですごさないと(笑)
TaekoLovesParis
▲ぎーこさん、退職したら、、(笑)。私も退職したら、オペラ三昧にしようかな。
新国立劇場の中のレストラン「マエストロ」で、予約をして休憩時間の食事を
したこともあるのですが、やはり時間が気になって、せわしいです。
寝ないようにするためにも、最近は、サンドイッチが定番。時間があるときは、
おいしいお寿司を買って行きます。
▲pistaさん、暗くなるから、眠くなっちゃうんですよね。<意識が飛ぶ>→
よーく、わかります。あ、いけないって思うあの瞬間ですね(苦笑)
きょうの「レベッカ」は、マチネです!
▲匁さん、私は飛行機でずーーっとすわってるの、平気で、今まで、長い
オペラもOKだったのですが、今回、初めて、座ってるとき、お尻が痛くなるのを
体験しました。
匁さん、グラウンドなら、応援で時々立ち上がるから、長い時間の延長戦試合
でも、大丈夫ですね。
▲roseadagioさん、<地下、地上、天上を語られたらどんなに時間が>
→ みごとに表現してくださって、その通りです!
「神々の黄昏」では、ラインの川底の「3人のノルン」が重要なセリフを歌い、大事な
役なんです。これで、最初の「ラインの黄金」につながっていくって、わかりました。
小人族って、舞台の上では、表現しにくい、特にオペラの人は体格がいいから、
難しいですね。逆にコンピュータのゲームソフトだとうまく使えますね。
katsura
Inatimy
6時間20分・・・ボビンレース織ってたら、きっと苦痛じゃないかも、と思うと、
好きなことの時間って、ホントあっという間ですよね。
ワーグナー自身も、長いって感じてないかも。
バニラ
これがTaekoさんかなぁ~って想像してしまいましたよ♪
pica
ちょっと苦手な食材もあったけど、好き嫌いが言えるなら
このレストランは覚えておこうと思います。
語学力の問題はありますが(^_^;)
その前に、次、いつパリに行けるかが微妙でした(笑