熱海は東京から東海道線で1時間半くらい、新幹線ならばもっと早い。
海に面した風光明媚な温泉地だが、海の近くにまで山が迫っている。
MOA美術館は、山の中腹にある。車で行くとかなりの勾配の道を登ってつく。
この日はあいにく雨。
「アフリカの美」という企画展が開催されていた。(9月8日まで)
単にアフリカの美術工芸品を展示するのではなく、アフリカ美術に影響を受けた
20世紀の芸術家たちの作品と並べて見せているのが、興味深かった。
左:モディリアーニ「黒い瞳の女」 右:アフリカのグロ族の仮面
顔の輪郭、目鼻だちは似ているが、口元が違いすぎるのでは?
左:ピカソ「女の半身像」(フェルナンド) 右:アフリカのコタ族の遺骨容器守護像
ピカソは、実際にアフリカの像を持っていたので、それらを見て、左のようなキュビズム
の絵を思いついたのでは、顔が左右対称でないのも、アフリカの像からの影響との解説。
左:パウル・クレー「花のテラス」 右:クバ族の女性用前掛けの布
模様が似ている。
ミロの絵もこの布地に似ている面がある。
細長い人体彫刻が特徴のジャコメッティも、アフリカの彫像からインスピレーションを
得ている、とわかる。
左:ジャコメッティ 右:アフリカ、ワジャ族
マティスの「ジャズ、ナイフ投げ」の横には、アフリカの部族のナイフ投げ用の
ナイフが3種類展示されていた。
この美術館の建物は、スケールが大きく、入り口をはいると大きなエスカレーター。
七色の照明で、先の見えない上へ上へと上がっていくと、さながら宇宙基地のようなホール。
ここでUFOの修理をしたのでは?と想像してしまうほどの異次元空間。
さらにエスカレーターは続いて、ようやく展示室入り口へ到着。
MOA美術館の呼び物は、秀吉の「金の茶室」を復元したもの。
15年前にここに来たのは、これを見たいという友達につきあってのことだった。
そのとき、「金色に輝く茶室」の派手さに度肝をぬかれた。
壁と天井が金色、たたみと障子が赤。金と赤という色彩。
これを作ったのは、利休。京都にある国宝「待庵」のわびさびの情緒たっぷりの茶室と、
何と言う違い!
広大な敷地には、お茶室もある。
徳川家のものを移築したという山門。
尾形光琳の家を復元したもの。数奇屋づくりで、絵を描く部屋もあった。
光琳の「紅白梅図屏風」(国宝)を所蔵しているが、公開は毎年2月だけ。
この美術館は、所蔵品がすばらしいものばかり。お金のかけかたが違う。
これも国宝 野々村仁清 「色絵藤花文茶壷」
モネの「睡蓮」、「ジュヴェルニーのポプラ並木」もあった。
この記事へのコメント
Luna
匁
秀吉の「金の茶室」は写真でも凄いですが、現物を実際見るとビックリでしょう。
さすが黄金風呂の熱海にぴったりの感じ?。
モリジアーニ、ピカソ、クレーそしてマチス等の巨匠もアフリカの美術工芸品に影響を受けていたんですか?これもビックリです。全くの独創でないものもあるんですね。
こうして並べられると感心してしまいます。
それにしてもモリジアーニの首の長いのは浮世絵の影響かな??
それにモネの睡蓮もあるんですか。行ってみたくなります。
taekoさんは電車じゃなく車を飛ばして行かれたんではないのですか(笑)
TaekoLovesParis
追記しましたが、「金の茶室」が「わびさび」の利休の作ということにもっと驚いた
のです。
秀吉の命を受けて、これを作ったという事柄からも、秀吉と利休の関係には興味が
もてます。その辺りは、野上弥生子の「秀吉と利休」という本に詳しく書いてありました。
(学生時代に読んた本なので、詳細は覚えてないのですが。。)
<黄金風呂の熱海>→ 熱海は一時、会社の慰安旅行先No1だった時代が
ありましたね。
モディリアーニの人物の首が長いのは、原始美術からの影響であると、昨年の
「モディリアーニ展」で知りました。原始美術、つまりアフリカ美術も含まれますね。
熱海を通る機会があったら、途中下車でご覧になるといいかと思います。
駅から、バスで、10分くらいでしょう。
TaekoLovesParis
いっぷく
こんなにステキな美術館があるんですね、海も臨めるんでしょう。
ずいぶん敷地も広そうで何時間も楽しめそうです。
金の茶室には入れないでしょうが自分がその中に身を置いたら、
場違いで似合わないだろうなと想像しちゃいます。
TaekoLovesParis
広い敷地に手入れの行き届いた庭、コレクションのすばらしさで評判です。
いっぷくさんには、政治的策略が見え隠れする「金の茶室」よりも、純粋に茶道の
精神性を追求した2畳だけの「待庵」のほうがお似合いだと思います。
ばん
aranjues
でも、ほとんど覚えておりあせん(^_^;)。
このとき覚えてるのは熱海後楽園ホテルに泊まり、
夜、ホテル併設のゲームセンターでUFOキャッチャー
やり始めたら次から次へと景品がとれて
気がついたら周りにギャラリーがいっぱいだった事。
当時は特技は書よりUFOキャッチャーでした(苦笑)。
エリザベート
りんこう
今でもアフリカ美術は大人気のようでした。
「色絵藤花文茶壷」は昔410円の普通切手のデザインに使われていました。
今でも売ってるのかな?
mami
光琳の紅白梅図も拝見できて嬉しかったです。
そうそう、長~いエスカレーターがあって、確かにSFの世界みたいでしたね。
秀吉の茶室は何故か記憶にありません。こんな派手なのを見てたら覚えていそうなものですが…。
アフリカ美術の現代絵画への影響は、露骨でなくても大きなものがあるのでしょうね。興味深い展覧会ですが、熱海まで足を運ぶ時間はないかなあ。
pace
モアのエスカレーターはほんと凄い!
duke
アフリカ文化との関係、面白いです。茶室も見てみたい^^
ところでTaekoさんは温泉など行かれたのでしょうか?
そこらへんも気になるところです^^
yk2
MOA美術館も抱一持ってるんですよね~。でも、日本画って必ずいつも常設展示してあるわけでもなさそうだから、行ってみたいけどなかなかタイミングが難しいです(^^;。
TaekoLovesParis
仁清は展示室の中央でちゃんと目だっていました。
すいていてじっくり見れたので、うれしかったです。
てんとうむし
充実したコレクションですね。
観てみたい作品がたくさん!!!
Taekoさんのこの記事を拝見して「行かなくちゃ!」と決意を新たにしました。
「金の茶室」は、確か大阪城で見て度肝を抜かれたのですが、わびさびの対極にあるようなこの茶室が千利休の手によるものだったとは・・・腰がぬけちゃいそう。。。。
TaekoLovesParis
それは、女の人にもてますよ。お仕事柄、指の先まで神経がいきわたって
いらっしゃるのでしょう。その特技を捨て、指に筆を握る書に転向とは、何か
啓示があったのでしょうか。
会社の社員旅行が減り、熱海もさみしくなりました。
Inatimy
あれ?・・・フジツボって海にいる生き物よね・・・と、
横道に逸れていったのでした。
モネの色の置き方・混ぜ方って不思議な魔法♪
それだけでは冴えない色も、美しく見えてきますね~。
雛鳥
熱海は温泉も有名ですし、ふらりとひとり旅に出たいなあと…。
アフリカの美術とは言え、モディリアーニやクレーなんかと一緒だと、
民族色が薄まるように感じるのが不思議です。
紅白梅図屏風は、2月のみの展示なんですね。梅の季節だからでしょうか。
海沿いは2月は寒そうですが、これを目指して行くのもおもしろそうです。
ヒデキヨ
さて 利休の二面性なのか それとも
金色の中に潜む空しさ…侘びに通じるのか…
僕は 門外漢なので 詳しく知りませんが 興味深い人物ですね
まさみん
roseadagio
りゅう
《紅白梅図屏風》の美術館というイメージがありましたが、
他にも興味深い作品がいっぱいありそうですね~
東京から東海道線で1時間半だったとは!!w(°o°)w おおっ!!
熱海ってけっこう近いんですね。もっと遠いイメージがありました。(^_^;)
やまがたん
訪問ありがとうございます☆
berry
アフリカの美術工芸品に惹き付けられます。
わたしの場合はインテリア的にほしいな . . . と。
でも、なかなかホンモノは手に入りませんね。
MOA美術館、すごく興味深いです。
熱海ですか . . . アフリカに行くよりはずっと近いけど。(笑)
TaekoLovesParis
▲エリザベートさん、天下の秀吉の命といえど、あの赤と金の「金の茶室」を
利休はどういう発想で、、と少し調べました。
当時、大阪堺の町では、宣教師たちが布教活動をし、キリスト教が注目されていた。赤はカトリック司祭の礼装で、赤と金の配色はキリスト教から取り入れたと思われる。豪奢、華やか、そして尊厳な「金の茶室」で、天皇、宮廷貴族たちを招いて茶会をすることは、秀吉の力を天下に知らしめることになる。秀吉は外来文化をいち早く
取り入れることが好きで、堺の町の人たちも、それを称賛していた。
▲りんこうさん、< 「色絵藤花文茶壷」は昔410円の普通切手のデザイン>
→ そーなんですか!国宝だからですね。今もあるか、今度チェックしてみます。
フランスに行くと、アフリカば身近な国なんだとわかりますね。植民地を持って
いましたからね。そうですか、蚤の市にまで、ね。
▲mamiさん、<光琳の紅白梅図も拝見できて嬉しかったです。>
→ 昨年の秋の「琳派展」に出品されなかったので、残念に思っていたら、
日本美術は痛みやすいので、作品保護のため、あまり貸し出さず、ここで
2月だけの展示なんですってね。私もいつか見に行きたいです。
この次の企画展は、「ルネ・ラリック」。国立新美術館での展示が巡回するらしい
です。だから、「アフリカの美」も次、どこかに巡回するかもしれませんね。
▲paceさん、やっぱりエスカレーターに驚かれましたか?ドームになっていて
先が見えないというのは、いろいろな想像力をかきたてられますね。他に誰も
いなかったので、不安が募りました。
▲dukeちゃん、熱海なので温泉がありました。貸切露天風呂もあり、暗い海を
見下ろして、夜風に当たりながらは、よかったです。ところが、ごはんがまずい。
友達がインターネットの写真で見ておいしそうだったというのですが×でした。
お刺身の舟盛りは、新鮮でよかったけど、お料理が全部ダシの味がしない薄味。
薄味のものは、昆布ダシの風味を味わったりするでしょ。お吸い物まで味なしなので、目の前の舟盛りの海老を見ながら、これをいれるだけで、ずっとコクがでて
おいしくなるのに、と思ってしまうほどでした。こんなまずいの久し振り。
ホテルや旅館は、dukeちゃんのように食べるのが好きな人が行って「よかった!」
というところにすべきです。
▲yk2さん、dukeちゃんに書いたような結果でした。
浴衣、私は粋に着れないから、部屋の中だけで着ています。
エクス・レ・バン、憧れです!熱海は近いのがメリットですが、もう一歩足をのばして箱根の方が、エクス・レ・バン的ですね。
MOA美術館のパンフに「琳派展」で見た光悦の「樵夫蒔絵硯箱」(私の琳派展記事に写真があります)が載っていましたが、展示されていませんでした。おっしゃる
とおり、常設展示していないお宝が多いので、調べていらした方がいいですよ。
hideKING666
「金色に輝く茶室」も気になります!
エリザベート
pistacci
水戸の偕楽園は梅まつりの二月末でも、3分咲き、なんてことがあったの。
いいなぁ、寒い二月に光琳を見に、暖かい熱海旅行♪
近いからいつでもいける、と思うと、行きそびれるので、いい理由が出来ますね。
U3
TaekoLovesParis
▲てんちゃん、熱海は身近な温泉地ですね。ここは駅からバスで10分くらいだと
思います。そんなに遠くないです。皆さんのコメントによると、国宝も見れるし、
梅の季節が良さそうですね。
▲Inatimyさん、藤壷って、源氏物語の源氏がお慕いする年上の君。だから、
あんまり外れてないと思う。モネは、離れて鑑賞してこそ良さがわかりますね。
▲雛鳥さん、私も次は2月に行きたいな、って思っています。熱海の梅園は
行ったことがないんです。金色夜叉の「お宮の松」の前は何度も通りましたが。
モディリアーニはクレーは、やはり、アフリカ美術を現代的感覚で置き換えて
いるから、私たちに感銘を与えるんでしょうね。
▲ヒデキヨさん、茶道の濃茶のまわし飲みは、カソリックの式典のぶどう酒を
順についでもらって飲むことから来てるのではと言われてます。つまり、利休は
カソリックの儀式も上手に茶道に取り入れたということですね。
▲まさみんさん、駅からわりあい近いのですが、ただ広告を見ただけでは、
規模もわからないから行ってみようという気にはなりませんよね。
よかったら、今度、お時間がおありのとき、いらしてみてください。
▲roseadagioさん、さすが、一番いい時季にいらしたんですね。熱海の辺りは、
車窓から伊豆半島も見えて眺めがいいですね。私も好きです。
▲りゅうさん、私は伊豆に行く機会が多かったので、熱海は玄関口。なじみが
あるのですが、友達に連れて行ってもらうまで、MOA美術館って名前もきいた
ことがありませんでした。箱根美術館も同じ系列だそうです。
▲berryさん、ほんと、アフリカに行くより近いですね(笑)
アフリカの工芸品は、インテリアに使えますね。モダンな部屋にあいますね。
日本家屋にはダメ。
▲やまがたんさん、機会があったら、いらしてみてください。いい美術館です。
▲hideKINGさん、茶室は建築的にもおもしろいのでは。2畳だけの利休の
茶室は光の取り入れ方が上手なんですよ。
▲エリザベートさん、どういたしまして。時間と興味があったので調べたら、
茶道の濃茶もキリスト教の影響とわかり、おもしろかったです。
▲pistaさん、私は水戸の偕楽園の梅まつりのちょっと前に行ったら、2月だった
のに、咲いている木が数本。さみしかったです。いっしょに行った人に「よく調べて
から来ないと」って怒られちゃいました。スーパー常陸、それ以後乗っていません。
▲U3さん、ブログ記事の主役の「妻」さんですね。U3さんは置いてかれちゃった
のですか。
ぎーこ
知りませんでした。
熱海って行った事がないような気がしますし、
観光がてら行ってみたいです。