2007年3月、パリで歌舞伎公演があったときの「歌舞伎衣装展」のこと。
何で今頃?って、前記事の「浮世絵展」、歌舞伎役者の絵で思い出したんです。
写真がなくて、パンフレットのスキャンだけですが、すばらしい展覧会でした。
会場は、凱旋門のすぐ近く、古い建物 MITSUKOSHI ETOILE。三越アートサロン。
全部、三越の持っている歌舞伎衣装です。
入り口で10人くらいまとめてグループになり、ガイドさんが説明してくれます。
日本人は誰もいなくて、ガイドさんもフランス人の若い女の人。
グループは2つ。
これは、歌舞伎の有名な演目「白波五人男」(弁天小僧菊之助も含む5人の泥棒)
の頭(フランス語だとシェフ)、「日本駄右衛門」の衣装。
シェフにふさわしい豪華な衣装で、錦絵柄。白波のもよう。
「歌舞伎は、衣装で何の役なのかわかるようになっています」とガイドさんが説明。
一同、うなづく。メモをとる人も数人。
「長唄が筋書きを語ります。筋はたいていメロドラマティックです」
これは、サムライの着る裃で木綿。
サムライという言葉に「ほぉう~」と反応あり。
深緑色で裏地が赤。碁盤柄、碁石は丸くて白と黒。
碁は日本のチェスと説明。
「歌舞伎役者は男だけなので、このきれいな着物も男の人が着ます」と、まず説明。
織り模様の絹の着付け。
トキ色(トキ=ibisの羽の色、ピンク色)
模様は雲の形と、いろいろな花を散らしたもの。四季すべての花が織り込まれています。
藤の手刺繍がある黒のうちかけ。
加賀前田藩の3人の身分の違うお局の騒動を題材にした「加賀見山」。
お局の「岩藤」役の五世中村歌右衛門が、「加賀見山」の花見の場で着用したもの。
実際の舞台写真が横にありました。
「藤は、嫉妬を表す花。一面全部、藤ですよ~。妬みの度合いがわかります」との
説明に一同、大笑い。
朱色の本紋綸子の傾城かけ(傾城かけは花魁の衣装)
「助六ゆかりの江戸桜」で、三浦屋の芸者揚巻がこれを着て登場します。
華やかな衣装で、火炎太鼓の模様と幔幕。
モダンですてきだったのは、「寺子屋」の松王丸の衣装でした。
茶色の地に白い雪の積もった緑の松。写真はないので、想像してください。
お祝いの時の演目「三番そう」の衣装は、めでたさを表すため、鶴と松になっている
ことなど、改めて知ることも多く、おもしろかったです。
歌舞伎の衣装は手が込んでいて、マリー・アントワネットの衣装にも負けません。
ガイドさんにぴったりくっついて、熱心に質問している人もいました。
話、変わって、日曜日のこと。
「おさしみたくさん買ったから、夕ご飯に来る?」と誘われ、そういえば、もうすぐ誕生日
だからと、シャンパンとバースデーケーキを買って押しかけ誕生会。
「え~?誕生日、12月だったじゃない。お刺身にシャンパンで合うかしら?」
クリスマスっぽいラベルの「PEHU SIMONET」、昨年、Iデパートに生産者が来て
話題になっていたRM。これを飲んでみたかったから。
ピノノワール75%だけど、深みが少なくてさわやか、普通でした。
この記事へのコメント
katsura
TaekoLovesParis
花を見る+sake+dancer。女形はfemme esprit って。
coco030705
歌舞伎の衣裳のすばらしさは、日本が外国に誇るべき芸術ですね。
ほんとに粋で、こんなにたくさんの色が混ざり合っているのに、
色同士がけんかしないところが、不思議です。模様にしても
すごく美しいと思います。外国の方にもこのすばらしさは伝わることと
思います。
若い観客が増えることを祈るばかりです。
ところで最後のケーキ、シンプルだけど、とってもおいしそうです。
お皿ともよくマッチしていますね。
バニラ
本当に美しく、重厚感もあってすばらしい衣装の数々にうっとりです♪♪
シャンパンとかわいいケーキにもうっとりだけど。
てんとうむし
2日遅れで、改めてお誕生日おめでとうございます☆
絢爛豪華な歌舞伎の衣装には、ため息・・・・
デザインとして好きなのは白浪だけど、着てみたいのはトキ色のもの。
藤の花=嫉妬とは意外でした。
(個人的には楚々とした雰囲気に感じているのですが・・・)
上村松園が六条の御息所を藤の花の着物で描いたのは、そういう理由だったんですね~。。。
wino
去年会いに行きました!
先週ノエルアラモードだったと今日聞いて、ガッカリ。。。
仕事してる場合じゃなかった!
TaekoLovesParis
<仕事してる場合じゃなかった!>
→いえいえ、仕事してください。この不況感から早く抜け出してほしいですから~。(と勝手なお願い)
いっぷく
調和していて見事ですね、歌舞伎役者が実際に着た姿を見たくなりますね、さぞかし舞台で映えることでしょう。
cru-de-meixx
アングロサクソンとは違う。^^
和の豪華絢爛ってやっぱり「大胆かつ引き算の美学」に基いていますね。
細部まで全てに明白な意味があるという美のセンスにフランス人は痺れるのでしょうね。
匁
その時歌舞伎パリ講演が同時に有って海老蔵さんとの行動が噂されて週刊誌を賑やかにしたと記憶しています。
その後、ポルトガルの演奏会の帰りにパリに立ち寄られて大分日が経ちますが。計画はないのですか?
円高も進んでいるのでチャンスかも?
Zunko
歌舞伎衣装とパリ。。何か、物凄く合っていますね。。
藤が嫉妬を表すお花だとは知りませんでした。女形は、フランスでは、どう受け入れられるのでしょうか。。昔のオペラのカストラートみたいな感じで受け入れられるのかしら?
歴史ある伝統芸は、国を超えて、そのよさが伝わるのは嬉しいですね。
yk2
しかし、この衣裳の柄とパンフレットの赤い地色と取り合わせはかなり強烈ですねぇ~(^^;。最後の写真など、フランス人でなくとも何だか京劇っぽさを感じてしまいます。
TaekoLovesParis
▲Cocoさん、<粋で、こんなにたくさんの色が混ざり合っているのに、、> → ほんと、たくさんの色が使われていますね。日本固有の色の名前がちゃんと表記されているのがうれしかったです。朱色、トキ色は、わかったけど、かわ色って?深緑色なのにと思ったら、革色=暗い灰みの緑なんだそうです。
日本古来の美しい色の名前、たくさん、ありますね。Cocoさんは前に長唄についての記事を書いていらっしゃいましたものね。赤というより、茜色、緋色、紅、と表した方が的確なとき、あると思いませんか?
山吹色、すみれ色、ふじ色、など花の名前の色もきれいですね。
お皿は、友達がさっと出してくれたぶんだけど、ケーキにあってますね。
これも着物の柄になりそう。
▲バニラさん、展覧会場には、20枚はあったと思います。刺繍がやはりみごとなんですよ。日本の手仕事のレベルの高さに感心しました。
そういえばバニラさん、モネの庭など過去記事にコメントいただいて、喜んで読んだのに、お返事しないでごめんなさい。
▲てんちゃん、この鴇色の着物は、色白のてんちゃんによく似合うと思うわ。お花の柄もかわいいし。
上村松園の「焔」のことですね。見てみたら、ほんと、はっきり、藤の花でした。松皇の展覧会にもいらしたんでしたね。
▲いっぷくさん、はい、実にみごとでした。舞台写真がそばに展示してあるので、よけい現実味があります。
実際、歌舞伎座に行くと、よほどいい席じゃない限り、衣装の細かい所まで見えないんですよ。動きがあるし。
歌舞伎役者のお嬢さんが「これ、父の襲名披露のときの着物」というのを着ていたのですが、息をのむほどの美しさでした。
TaekoLovesParis
▲cdmせんせ、日本では「女形」だけど、ガリア的には、精神的に女になって演じる、ということなんですかね?フランスも日本と同じく王位継承は男子のみだから、歌舞伎役者は男子のみが受け継いでいくという考え方はわかりやすいんでしょうか?
<「大胆かつ引き算の美学」>→なるほど、その通りですね。
着物も、美術品、工芸品と同じく職人によるアートですね。
▲匁さん、いろいろ覚えていてくださって、うれしいです。
今年のクリスマスはパリの友達の家で過ごす予定なので、楽しみです。冬は寒いので美術館が一番。どこで何の展覧会をやっているのか調べないと、、なのですが、12月は行事もいろいろ、仕事も終わらせなくちゃで、ついつい後回しになっています。
▲Zunkoさん、詳しいアメリカ便り、楽しく読んでいます。ちょっとアメリカの行事の通になったかな?(笑)
歌舞伎は、Kabuki Spectacleなんです。衣装展だと声が聞こえないから、カストラートの発想はなかったけど、、そう思っても不思議じゃないですね。歌舞伎には神道(Shinto)の影響が強いと説明していました。フランスはカソリックの国なので、宗教で説明されるとわかりやすいみたいです。
<歴史ある伝統芸は、国を超えて、そのよさが伝わるのは嬉しいですね> → ほんと、そうだなぁと思いました。
かよりん
嫉妬の藤のくだりは思わず私も笑ってしまいました。
ケーキ、かなりおいしそう~。
そしてかなり遅れてしまいましたが、Taekoさんお誕生日おめでとうございました。
TaekoLovesParis
歌舞伎衣装展って、日本であまりきかないけど、高価なものを近くで見ることができてよかったです。本当の意味での蔵出しだったのでしょう。
TaekoLovesParis
ムーミン
近くで見るとこんな風なのかって。
豪華な実物を生で見られたんですね。
説明も、面白くって楽しめますね^^
りゅう
とってもおいしそ~なケーキに釘付け!!ニャハハ (*^▽^*)
12月になるとシャンパンが飲みたくなりまーす♪
duke
aranjues
侵しがたい世界として評価してくれるのに、肝心の日本人が
軽んずるところが随分ありますね。
藤って嫉妬を表す花なんですか。若い頃、藤色の
カーディガン(だったと思う)を着てたことがあったそうで、
変わった色のカーディガンを着てましたねって、20年数年ぶりに
会ったかつて同じ医局で仕事した仲間に言われましたが、
当時嫉妬してたんですね~~誰かに。そういえば思い当たる
節があります(笑)。
あつ、誕生日おめでとう御座います。何歳に成られました
か、、なんて野暮なことはお聞きしませんね(^_^)
pistacci
たしかに舞台を見たときには、きれいな着物~とは思ったけれど、
こんなに斬新なデザインなのですね。
日本でも、こんな企画、してくれないかな。
範子29
デザインどうやって考えるんだろう。
インパクト抜群だし、雰囲気もでてますし。
TaekoLovesParis
▲yk2さん、最後の写真のはかまは満艦飾ですからね~。芸者は目だって勝負(笑)。
マリーアントワネットの衣装は形こそ目立ちますが、上品系で、色数少なく、刺繍などの手仕事がすごいんです。それに比して、エリザベス女王(一世)は多色使いで、目立つものがお好きだったそうです。
▲ムーミンさん、「知らざは~言ってきかせやしょう」の弁天小僧ですね。私もいくつか見たけれど、菊之助の襲名公演のが、初々しくて、
今も印象に残っています。何回も見てるのに、実は私も衣装に覚えがなかったのです。
▲りゅうさん、12月はシャンパンですよね~。景気もバブルになってほしいです。押しかけ誕生会は、面食らわれて、初め気まづかったのですが、シャンパン飲んだ頃から盛り上がりました。やはり、シャンパンの力は偉大です。
▲dukeさん、ウタエモン サンク→ ジョルジュ サンクの発想が心はパリですね(笑)
ケーキは、くにたち(国立)で有名なアントルメ(Les Entremets)。シェフはルコントの弟子だそう。訪問先の家から300メートルの位置。前にモンブランを買って帰っておいしかったので、ここのにしました。
TaekoLovesParis
▲aranjuesさん、藤色のカーデガンの話、笑いましたよ~。
日本人にとって日本文化は当たり前すぎて、ないがしろにしてしまうのかもしれないけれど、環境を大切にする時代、文化環境や伝統も大切にしたいですね。aranjuesさんの習い事、書道など、私も機会があったらと思っています。
▲pistacciさん、エリザベートのハンガリー女王即位の衣装も豪華でしたが、歌舞伎の衣装も負けませんね。舞台だと動きがあるから、模様までよく見えないんですよね。
琳派展でも光琳の着物「白地に秋草模様の小袖」、目だってましたね。
▲範子ちゃん、デザイン斬新ですよね。かなり昔から「図案」という本があって、絵師たちはそれを参考にしていたみたいです。だから、花とか鳥、日本にいる、ある、ものなんですよ。でも、それをどう配置するかは、腕の見せどころなんでしょうけど。
み〜ちゃん
日本人なのに,藤の花が嫉妬を意味するとは知りませんでした^^;
古典の藤だと藤壷を思い出してしまうので,高貴なイメージ…。
そういうのにとらわれずに見られるのは海外ならではですね。
(イメージにとらわれているのは私だけかも^^;)
そしてお誕生日,おめでとうございます!
yamagatn
お刺身でシャンパンでも^^
ケーキもいい感じでとっても旨そうですよ^^
パリで歌舞伎公演、評判はいかがだったのでしょう?
着物は日本の文化であり、歌舞伎は衣装も
迫力満点なんですよね^^
その迫力でパリ市民をきっと驚かせてくれたのでは?
なんてことを勝手に想像している私なのであります^^
TaekoLovesParis
海外で日本のものを見ると、今まで気づかなかったところに良さがあるとわかっておもしろいです。
リモージュは大好きなので、もっと見せてくださいね。
TaekoLovesParis
lie
たまらなく素敵ですね!
雛鳥
遅ればせながら、お誕生日おめでとうございます!
Taekoさんにとって、素敵なお年となりますように。
歌舞伎の衣装展は、たまーに日本橋の三越でも開催されてますね。
実は、衣装をじっくりと見たことがないのです。
こうして見ると、また着ているときと感じが違いますね。
揚巻は、さすが豪華です。帯もきれいですよね。
それにしても日本駄右衛門、フランス語だと「シェフ」ですか。
イメージが…。コックさんのことだけではないのですね。
衣装どころか最近は歌舞伎からも離れているので、
ちょっと見に行くかなあと思わさせられました。
歌舞伎座の取り壊しも決まってしまいましたしね…。
TaekoLovesParis
<歌舞伎の衣装展は、たまーに日本橋の三越でも開催されてますね>→そうなんですね。虫干しも兼ねて展示したほうがいいですものね。
歌舞伎座、取り壊しは、もったいないけれど、時代の流れには逆らえないのでしょうか。。
TaekoLovesParis
lieさんに、いいって言ってもらうと、お墨付きをもらったようで、うれしいです。
ルビー
私、弁天小僧が好きです。やっぱり、菊五郎のやつ。
歌舞伎の様式美は本物を見ると特に感動しますよねえ・・とはいっても2回しか見たことないんですが。(いつもテレビ中継ばかり)
Bonheur
オペラも楽しんできてくださいね~
miku
あ、遅くなりましたが、お誕生日、おめでとうございます!
すてきなお誕生会、何回もいいなあ