印象派が充実している美術館だが、アメリカ美術のコレクションも充実している。
スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の前よりも、もっとにぎわっていたのが
この絵の前。 皆、「ほら、これ」とか、「あった!」なんて言いながら、はしゃいで見ていた。
「アメリカン・ゴシック」 (Wood作)
農夫とその娘を描いていて、質素な服だが表情は理性的。アメリカでは、とっても有名な作品だそう。
メアリ・カサットの「沐浴」
母子のやさしく細やかな愛情を描くことに関して、天下一品のカサット。
上から見たような構図や、大胆な縞模様の服は、日本の浮世絵からの影響といわれている。
同じくカサットの「バルコニーにて」
カサットのことに関しては、yk2さんの詳しい記事があります。
エジプトの工芸品もあった。
初代シカゴの「証券取引所」を取り壊す時、移築したもの。
かなり大きな部屋。シンプルな構成だが、細部は贅沢で栄華がしのばれる。
ピカソ、題名は?
「The Red Armchair」1931(Inatimyさんがに調べてくださった)
マティス 「テーブルの上のりんご」
再び印象派に戻って、
コローの「傷ついたエウリディケー」 背景は、コローのいつも描く森。
モネ 「プールヴィルの崖」
この絵のモデルは、亡くなったモネ夫人カミーユではなく、2番目のモネ夫人アリスとその娘。
そのあたりの事情は、pistacciさんの記事にあります。
ミレー 「オーヴェルニュにて」 構図がおもしろい。力強さよりも軽やかさ、優美さがある。
こちらは、英国ビクトリア朝時代のジョン・エヴァレット・ミレーと似た画風のロゼッティ。
亡くなった妻がモデル。妻は、ミレーの最高傑作「オフェーリア」のモデルでもあった。
今、渋谷のBunkamura「ジョン・エヴァレット・ミレー展」で、「オフェーリア」を見ることができる。
マネにしては珍しい宗教画。「兵士に侮辱されるキリスト」。
イエスの視線は天を仰ぎ、3人の兵士たちはイエスに屈辱の言葉をあびせている。
それぞれの人物が肖像のように描かれているところに近代性がある。
ムリーリョ 「キリストを指差すバプティスマのヨハネ」
ムリーリョの聖母子や子供は無垢な美しさ。ここでのキリストもヨハネもすっきり描かれている。
パロマ展での絵を思い出すような宗教画。
Francesco de Mura という作者の「Charity」1743/44 (Inatimyさんthankyou!)
部屋の中で目立ってきれいだった。
この記事へのコメント
にこちゃん
「アメリカン・ゴシック」 (Wood作)って教科書に載ってました。
でも、夫婦の肖像だとばかり思ってました。
顔つきから「堅実」のニオイがしますねー
Inatimy
2つの窓に分かれてておもしろいですね。
でも、「オーヴェルニュにて」の絵がいいなぁ。
羊がいる♪
ちなみに、ピカソの絵は、「The Red Armchair」1931 で、
宗教画は、Francesco de Mura という作者の
「Charity」1743/44 です♪
bonheur
シカゴにも仕事でしか行ったことがない(=観光ゼロ)のですが、Taekoさんの記事を拝見してプライベートで行ってみたくなりました。
アメリカでは静かな住宅街って怖いのですね。以前1ヶ月ほど米国に滞在した時に住宅街には車でよく迷って入り込んでいたのですが、銃社会、気をつけないといけませんね。
バニラ
マネの宗教画 初めて見ました。
初代の証券取引所の建物、なんだかアジアンチック~
katsura
まあ、あの映画はすべてパロディなのですが。
TaekoLovesParis
<「アメリカン・ゴシック」 (Wood作)って教科書に載ってました。>
→お~日本でも!にこちゃんの学校進歩的。アメリカではパロディに使われているから、皆におなじみなんですって。
堅実は、アメリカ人の理想だった(過去形)んでしょうね。
TaekoLovesParis
絵の名前だけ、別に写真に撮ってくればよかった、とか、面倒がらずに
書き留めてくればよかった、って反省してたんですよ。特に宗教画の方は全く手がかりなしで。。さっそく書き足します。
「オーヴェルニュにて」の絵、私も気に入りました。ミレーの「種蒔く人」とか「晩鐘」「落穂拾い」など有名な絵の農民はしっかりとたくましく、立派だけど、これは、羊さんも女の子も軽やかでかわいい。
ロゼッティの絵が2段になっているのは、上の段が天国、下の段が地上
を表しているのだと思います。
上の段の部分だけの絵は「ベアタ・ベアトリクス」、亡くなった妻の思い出として描いたもので、ロンドンのテート・ギャラリーにあります。
妻の名は、シダル(オフェーリアのモデルの人)だったけれど、ダンテに傾倒していたロセッティは、ダンテの永遠の淑女ベアトリーチェの名前から、絵のタイトルはベアトリクスとしたのです。
下の段の男の人はロセッティで、妻が死ぬ瞬間に別の女に人に求愛している、って私は想像したのですが。
lie
アメリカのテレビドラマ、「デスパレートな妻達」のイントロで、でてきます。このドラマ、アメリカでも人気らしいので、人が多かったのはきっとそのせいでは?
今はみてないんですけど、以前夜中にやっている時に、私も観てました。
yk2
最近ねーさんが無精してタイトル書かないとInatimyさんが調べてくれるってパターンが常習化してますね(笑)。ついでに「羊がいる♪」って、すっかりオオカミ・キャラになりきってるInatimyさんのコメントにも笑わせてもらってます(^^。
coco030705
コロー、素敵です。モネとミレーの絵もいいなあ。Taekoさんは構図の面白い絵をよく見つけられますね。
ムリーリョの宗教画も好きです。聖母子やキリストが美しいですもの。
楽しい記事をありがとうございました。
TaekoLovesParis
▲bonheurさん、今日も仕事帰りにお茶した友達から、「シカゴは麻薬の巣窟だから危ないのよ。電車なんか乗っちゃ絶対ダメ。ま、無事でよかったけど。」って、言われました。
でも、美術館は危なくないから、おすすめです。
▲バニラさん、私も夫を冷たく見つめる奥さんかと思いました。unmarried daughter未婚の娘だそうです。
シカゴは金融の中心地だったから、証券取引所の建物もお金がかかってたんですって。アジアンチック、私も歌舞伎座を思い出しちゃった。
机やイスなど備品がはいると、また、雰囲気が変わるんでしょうけど。
▲katsuraさん、おしえてくださってありがとう!
私もロッキーホラーショー、評判の映画だったから見たけど、わからない
だらけでした。結構ドタバタだったし。冒頭に使われていたんですか。
wino
最初のところでこの絵出てるけど、
向こうの人たちも思い違いしてるのね?
りゅう
Bunkamuraあたりでカサットの回顧展をやってくれないですかね~
ミレイ展、いつ観に行こうか考え中でーす♪(^_^)/
pistacci
リンクありがとうございます。
ちょっと調べてみました♪
「プールヴィルの崖」を描いた年は、カミーユの死後3年。
アリス(未入籍)とモネ一家はプールヴィルでの8ヶ月間、作品を100枚も描き、翌年、睡蓮の庭のジヴェルニーに移り住んだのですって。
(ただし、多大な援助を受けて、のお引越し。経済的には苦しかったみたい。)
TaekoLovesParis
調べてくださってありがとうございます。
8ヶ月間に100枚、2,3日で1枚完成していたんですね。速いペース。
西洋美術館の常設の「ボートの少女たち」の2人の少女はもっと大人になったアリスの娘たちなんですね。
TaekoLovesParis
「デスパレートな妻達」、すごいタイトルって思って、存在だけ知っていたけど、見たことないんですよー。今、調べてみたら、まだやる可能性があるみたい。それから、「オープニングにでてくる絵画のタイトルを教えてください」というのもあって、「おぉ!」って思っちゃいました。
TaekoLovesParis
↑でも書いたけど、シカゴ美術館の絵の解説には、Farmer& his
unmarried daughter って書いてありました。モデルは、作者ウッドの妹なんだそうです。
TaekoLovesParis
▲yk2さん、
<もう1年近くも続きを書いていないカサットの記事を紹介>
→はい、これは穏やかな催促です。
そう、Inatimyさん、すごいサーチ技術ですよ。感心しています。
私だって丸投げじゃなくて、少しは努力したんですけど。。
▲Cocoさん、私が好きで取り上げたのを気に入っていただけて、うれしいです。カサットはアメリカ人だけど、パリでピサロに学び、ドガの絵を見てとっても気に入り、印象派に参加するんですよ。ドガ、マネ、モネなどに共通する画風が絵に見られるでしょ?
とらion
「アメリカン・ゴシック」 は我が家の祖父の肖像画ならぬ写真に似ていますね。
昔は写真屋さんで撮って貰うので、正装して真面目に正面向いていました。少し似ていることもあるかな?農機具持って開拓者の精神受け継いでいた時代かな?
てんとうむし
わかります、わかります、この気持ち^^
もしも私がTaekoさんとご一緒に展示室をまわっていたとしたら、「あーっ、これオフィーリアの人でしょ?」ってロセッティの前ではしゃいだに違いない♡
最後の宗教画も素敵ですね。
ひきこまれてしまいます。
TaekoLovesParis
▲とらionさん、おじい様、こういう感じの方だったんですか。実直で真面目な方だったんですね。そういえば、この絵が写真のようですね。
▲てんちゃん、<ロセッティの前ではしゃいだに違いない♡>
→私もこの絵の前に立ったとき、「てんちゃん!」って思ったのよ。
早く、渋谷へオフィーリアを見に行ってください。ここにリンクをつけたいから(催促)
てんとうむし
もうBunkamuraへ行ってきちゃったのです。
これから頑張って書きまーす。
miku
すっごくしばしば見る絵だと思ったら
「デス妻」のオープニングの絵でしたか!
lieさんのおかげですっきりしました^^
かよりん
特にコロー様(完全にはまってます)と農夫の夫婦じゃなくて“親子”に会いたいです。
でも絶対奥さんにしか見えない(笑)
雛鳥
美術館を見に、ひとり外国に行かれるTaekoさん、素敵です!
4つのコレクションから成るとのこと、
だからこそ色々な国と時代の作品が、数多く見られるのですね。
カサットは、初めて名前を知ったのも、Taekoさんの記事でした。
未だ本物の作品は見たことがありませんが、
どことなくルノワールの描く人物を彷彿とさせます。
それにしても、外国の美術館は開放的でいいなあと思ってしまいます…。
TaekoLovesParis
▲てんちゃん、私も昨日行ったので、忘れないうちにと、書いちゃいました。充実したいい展覧会でした。「ブーリン家の姉妹」は、まだでしたね。
▲mikuさん、mikuさんも「デス妻」、見てるのね。ん?見たことないのは私だけ?
▲かよりん、コローに敬称、「様」がついているではありませんか(笑)
コロー様は、世界中の美術館にいらっしゃるので、日本から遠く離れた地でお目にかかるのも格別の思いでございますよ。
▲雛鳥さん、パリ以外の外国の美術館は、あまり混んでいないんですよ。だから、ゆったり見れて、うれしいです。メアリ・カサットを覚えていただいてうれしいです。名前を覚えていると、絵に会ったときに、「あ、この名前、きいたことある」って思い出し、親しみがわきますよ。
aranjues
おります(^_^;)。
TaekoLovesParis
→世間的に多いかどうかは、わからないけど、私の周りは、多いです。
見始めて、知っている絵がふえてくると、特におもしろいですよ。