モーリス・ドニ美術館

 ポルトガルの帰り、パリに2泊した。
他の6人はローマに行ったが、私はお宿(親友宅)のあるパリに。

 今回は携帯が外国でも使えるタイプなので、空港で公衆電話を探さないですむ。
ゆうゆうとタクシーの中から、「今、タクシーに乗ったから、30分後には着くと思う」
「遅かったわね~おなかすいたから、食べ始めちゃったけど」

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 私がハムとシャンパンが好きなので、いつも最初の晩の食卓はこんなふう。
「高そうな名前のシャンパンにしといたわ。ロスチャイルド」「財閥だから?」「そう」
ロートシルト一族は何軒かあるが、これは、アルフレッド・ロートシルト。

「写真撮るなら、あなたが買ってきたポルトガルのハムを見えるようにおかないと」
リスボンの空港でたくさん売っていたのが、チーズとこのオレンジ色っぽいハム。
ホテルの朝食にもいつも並んでいた。燻製っぽい香りがおいしい。
山羊の絵のチーズもおいしかった。ポルトガルのチーズは有名なんだそう。

[雨]翌日、
「ねぇ、どこ行く?この前閉まってたあの美術館は?」
モーリス・ドニ美術館。閉まってたのはクリスマスだったからと後でわかった。

 車は年代物のシトロエーンDS。乗るとガソリンのにおいがする。
私はいつも助手席で、地図係。

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 モーリス・ドニ美術館の建物は、ルイ14世の時代に建てられた老人病院。
昔のままの階段。[左斜め下]     中庭の「弓をひくヘラクレス」はブールデルの彫刻。

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 ドニは、晩年、この建物を買って「小修道院」と名づけ、家族とともに住んだ。
礼拝堂の内装やステンドグラスもドニが構想をねって、芸術家たちに作らせたもの。
右のステンドグラスは、ドニの描いた「ジャンヌダルク」
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 この部屋には、ドニの「永遠の春」という壁画が飾られている。

DonisChambre.JPG

 他の部屋には、ドニの絵の他に、ナビ派の画家のセリジュエ、ベルナールなどの絵もあった。
「ナビ派の美術館」と案内書に書いてあったが、ドニ以外の絵は全部で20点ほどしかない。

この絵は、1921年「テラスでの夕べ」 ドニの作品。
古きよき時代、幸せな家族のくつろぎの時間。宗教心あついドニだったので、
中央の少女が朗読をしているのは、聖書であろう。
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昨年、オルセー美術館の「モーリス・ドニ展」で見た絵がいくつもあった。

お客さんは私たち3人だけだったので、部屋から部屋へ移動すると、見張りの人も
ついてきて、美術館というより、お屋敷を見学しているようだった。

この美術館のホームページは、

http://www.musee-mauricedenis.fr/

 

 ここはパリから西へ20キロの郊外、サンジェルマン・アン・レイという町。
美術館の近くにルイ6世が築いた城があり、考古学博物館になっている。
恐竜の時代、人類が現れた時代、アルタミラの洞窟絵、石器時代、鉄器時代と、
発掘のようす、道具の歴史など、わかりやすく説明、陳列されていた。
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 [かわいい]<付記> この美術館に、Inatimyさんが、2011年5月にいらした記事をご参照ください。
         写真もきれいです。

この記事へのコメント

  • julliez

    常宿というか、自分の部屋があるって嬉しいですよね。
    姉さんは、ハムとシャンパンですね。
    地下に売るほどあるからいつでも来てください。
    ハムはリクエストしてもらったら近所の肉屋のおじちゃんがイイヤツくれると思うので、野獣臭がするくらい食べて下さい。
    コルニッションすらもこの際外しておきますから満喫できると思います。^^
    2008年04月13日 23:48
  • aranjues

    ホントに年代物のシロトエンですね。
    日本にあったらプレミア付きそう。
    ステンドグラス、綺麗ですね~~。
    2008年04月13日 23:50
  • yk2

    DSはさすがにもうなかなか見ることないですねぇ。格好は良いけど走らなそう~(^^;。

    ドニ美術館はナヴィ派の美術館なんですね。
    ねーさんご存じのようにワタクシはドニとかベルナールとかヴァロットンとかヴュイヤールとか、要はナヴィ派は完全なストライク・ゾーンですので、もうちょっと詳しく写真とか、写真とか~、写真とか!たくさん載せて欲しかったなぁ~~~。

    ところでJちゃま、ほんとにハム食べ過ぎると野獣臭するようになるんかい?(笑)。
    2008年04月14日 00:52
  • Taddy

    シトロエンが渋い! 「乗るとガソリンのにおいがする」←年季を感じさせますねぇ...
    パリに知り合いが居るなんて最高ですね。この御友人はいつもパリに行かれる時に合流なさる方ですよね?
    モーリス・ドニ美術館の建物にそのような経歴があるとは。ドニの作品はゴーギャンから影響を受けたであろう少し派手で荒っぽい色彩が印象ありますけど、この『テラスでの夕べ』にはそれを感じさせない「落ち着いた雰囲気」が漂ってます。
    サンジェルマン・アン・レイの街並み、クラッシックな建物と現代的車のギャップが何とも言えません。
    2008年04月14日 05:15
  • かよりん

    Taekoさんの記事で朝からリッチな旅が出来て、得した気分!
    2008年04月14日 05:41
  • Inatimy

    美味しそうなハム♪ パタ・ネグラだなんて。 
    Lonbo とあるので、これは背肉部分ですね。 
    オレンジ色は、きっとスパイスのパプリカの色。
    ふふ、野獣臭になってもいいから、とことんまみれたい♪
    2008年04月14日 07:19
  • coco030705

    おいしそうですね。ハムとシャンパンって相性がいいですよね。
    これにフランスパンとチーズがあったら、他に何もいらないって
    感じです。

    「モーリス・ドニ美術館」の「弓をひくヘラクレス」は、美術の教科書に
    載っていました!ここに本物があったんですね。(どこかの美術展でも
    見たかもしれません。)

    外国は美術館、博物館がたくさんありますよね。建物も本当に素敵です。
    Taekoさんの旅は、パック旅行では行けないところを紹介してくださるので、いつも楽しみです。
    2008年04月14日 08:51
  • 雛鳥

    ドニ美術館、とっても素敵なところですね!
    建物の白さにステンドグラスが映えます。
    外国の美術館は、つくづく邸宅のようだなと感じます。
    日本の美術館が、絵を陳列するだけの空間に思えてしまいます…。
    「テラスでの夕べ」という作品は、ぱっと見ドニっぽくないなと思いました。
    人物がしっかりと描かれているせいですかね…。
    淡い色調は、やっぱりドニだ、と思わさせられます。
    2008年04月14日 10:28
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲julliezさん、<地下に売るほどある>
    →なんていい所がお宿なんでしょう。はい、コルニッションはパセリ代わりの飾りだからなくていいです。野獣臭ね、サラミに感じるときがありますが。
    野獣臭って、強烈な言葉だから、yk2さんもInatimyさんも↓で反応してる(笑)。昔だったら、ハムが好きって言ったら、お嫁にいけなくなっちゃう。奥さんが野獣臭じゃね~。

    ▲aranjuesさん、aranjuesさんの滑らかな走りの新車とは大違い。かなり大きな音をたてて走ります。でも高速で150キロくらい出しても安定してるんですよ。メンテにお金がかかってるみたいです。

    ▲yk2さん、DS(デーエス)は、エンジン快調。でもワイパーがちょっと不調なので、タオルを持って乗ります。助手席は時々拭くのが仕事。(あいにく小雨の日だった)
    ギアがハンドルの付け根についている昔のタイプ。これ、車高が変わる分だったんですよ。いなか道を走ると、子供たちが手を振ってくれたりします。

    コメント読んで、ちょっと書き換えました。案内書に「ドニ派の全貌がわかる美術館」って書いてあるんだけど、ベルナールとヴュイヤールは1点づつ、ヴァロットンはなし、ゴーギャン、ボナールが1点づつ。ランソンが1点。調べたら、持っていると書いてある絵、飾ってないんですよ。展示品の入れ替えがあるんでしょうね。たぶん他人の絵を購入するほどお金に余裕がなかったんでしょう。ドニ以外の作品は私にはピンと来ないものばかりでした。写真撮ったんですが、暗すぎたのと、照明が光り過ぎてたのとで、きちんと見えません。ちゃーんとyk2さんのツボってわかってましたよ。でも、私の写真技術がおこたえできませんでした。

    ▲Taddyさん、パリでもここまで古い車はあんまり走っていません。今の季節は大丈夫だけど、夏はオーバーヒートが心配でひやひやしながら走ります。
    パリの友達は、幼稚園からずっといっしょなので、考古学博物館なんかでは、「これ、○○先生がいつも言ってたぶんね」って中学や高校の歴史の時間を振り返り「もっと勉強しとけばよかった」とお互いに反省。
    このお城、国道に面している部分は、塀がない。あ、後から道を作ったので、塀を壊したんですね、きっと。奥行きは広くて、きれいな庭園もあります。
    この「テラスの夕べ」は、海のさざ波同様、全体が穏やかだったので、気に入って、絵葉書を買ったのです。

    ▲かよりん、今週も元気に働いてください!
    2008年04月14日 20:55
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲Inatimyさん、さすがです!ポルトガルのハムをご存知。写真に載せてよかった。なぞが解明しました。教えてくださってありがとう。

    ▲Cocoさん、お仲間でうれしいです。私もハムとシャンパン、パンとチーズです。おいしいシャンパンのとき、パンだけでもいいのに、、って思ったり。。
    私も以前、知らなくて、ロダンの「地獄の門」があそこにも、ここにも、って?と思ったら、彫刻は原型があれば、複製がいつでもできるので、同じのがあるのが普通なんですって。ロダンは原型をフランス政府に寄付しているので、新たにほしいと注文があると、フランス政府が儲かるんですって。
    「弓をひくヘラクレス」は上野の西洋美術館の中庭にもあったと思います。
    教科書に出てたものって覚えてますよね。
    <パック旅行では行けないところを紹介してくださるので、、>
    →うれしいおほめの言葉です。

    ▲雛鳥さん、特に郊外の美術館や、住んでいた家を美術館にしたものは、落ち着きがあって、庭に鳥が来るような感じのいい所が多いです。ここも17世紀終わりの建物というから、300年たっているんですよね。
    やっぱり「テラスのゆうべ」は、ドニっぽくないと思われましたか?私も同じく、でした。だから異色でいいかな、と。
    2008年04月14日 21:17
  • katsura

    ジャンヌ・ダルクはステンドグラスにあうでしょうね。
    オルレアンのカテドラルは全面だと思いますが、ジャンヌ一色でした。
    この美術館にも行ってみたいですね。
    2008年04月14日 22:29
  • シェリー

    ポルトガルの帰りにちょっとパリへ~なんて☆
    何気に書かれてますが・・・すごーくステキですね~w
    そうそう、私も今回の旅行の前に海外でも使えるものに買い換えたので
    嬉しくって無駄にメールしたり電話したりしてました(笑)
    ロスチャイルドってシャンパン知りませんでした~
    お味はいかがでしたか??おつまみも美味しそう♪

    ドニさんの絵はとっても優しい雰囲気ですね
    「永遠の春」って・・・ずっと春みたいな幸せが続いたらいいなぁ~って
    願望でしょうか?そう思っても私はなかなかそうはなれません(笑)
    2008年04月14日 22:55
  • bonheur

    「モーリス・ドニ美術館」、知りませんでしたが、netで調べました。これは!素晴らしいですね。庭園も素敵だったのでは。次回パリへ行った時の楽しみにしたいと思います。Taekoさんにはいつも色々情報頂いて感謝です~!
    2008年04月15日 00:28
  • pistacci

    Taekoさんのところへは、後から来たほうがいろいろ知識が増えるなーって、コメント読んでて思いました。
    わたしもヘラクレスは見たことある!っと思ったけれど、教科書と上野ですね、たぶん。で、「地獄の門」は、まだ増えるの!?ちょっとびっくり。
    フランスの方はバカンスにでかけるために長距離に適した車を持つ、とか、どこかのエッセイで読みましたが、いなか道をタオルで拭きながら走るって、映画のワンシーンみたい☆
    2008年04月15日 10:46
  • てんとうむし

    助手席で地図とタオルを抱え、ときどき窓から手を振っているTaekoさんの映像を思いながら読み返しました。
    3人で「お屋敷訪問」のように鑑賞できたなんて、こちらもまた贅沢な時間ですね~♡
    ドニの絵にかこまれたあたたかな情景が思い浮かびます。
    野獣臭・・・生ハムだらけのレストランへ行ったばかりなので、なんとーなーくこちらも想像してしまいました(笑)
    2008年04月15日 23:33
  • miku

    お屋敷美術館、いいですねー。
    お部屋見るだけでも楽しそう!
    ドニの絵、あまり意識して観たことないですけど、
    いいですねー。今度じっくり観てみなきゃ。
    先日コメント入りませんでした。再チャレンジ!
    2008年04月16日 00:13
  • とらion

    パリってこんなに楽しいところなんですね。
    ちゃんと好きなお食事が用意されていて好きなお友達が待っている。
    そしてパリの美術館巡り。
    空いていてゆっくり見れるのはいいですが
    係りの人が一緒について来るのは落ち着きませんね。
    2008年04月16日 19:52
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲katsuraさん、オルレアンはジャンヌの地元だから、なるほど!ですね。
    オルレアンにいらしたことがあるんですね。私もいつか行ってみたいです。

    ▲シェリーさん、<嬉しくって無駄にメールしたり電話したりしてました>
    →わかりますよー。ほんとに通じる!って、私もうれしかったから。海外サービスはソフトバンクとドコモだけ、だそうです。
    <ロスチャイルドってシャンパン知りませんでした>
    →フランス語読みでは、ロートシルト。それなら知ってる~でしょ。でも、
    このシャンパンは特別高くないです。
    ずっと春だったら、、、どうでしょう?暑かったり寒かったりの刺激が恋しくなったりして。。。(あまのじゃく?)

    ▲bonheurさん、パリ近郊へちょっと足を伸ばすと、また違った良さがあります。清々しい空気。SNCFのサンジェルマン・アン・レイの駅のまん前がお城です。いらしたかもしれないけど、「モネの庭」もいいですよ。

    ▲pistaさん、まぁ、おほめをいただいて。。ってか、長文が書けないので、
    不十分な本文をコメントで補っています。pistaさんみたいに、さら、さらっと、
    心にうつりゆくよしなしごとを綴れれば、、。
    静岡県立美術館に数年前、ロダン作品の新しいのが数点運ばれてきています。
    ポンコツ車って、外から見ていると楽しいけど、実際、乗ると、はらはら。
    JAFみたいのあるのかな、って思ったりね。
    2008年04月16日 21:07
  • TaekoLovesParis

    nice&コメントありがとうございます
    ▲てんちゃん、↑で書いたように、ハラハラ、どきどきで乗っています。
    最近では友達の夫君の最初のあいさつは「まだ僕の車は走るよ!」に
    なりました。そばで友達が「買いかえればいいのにね」。日本語の
    わからない夫君だから言いたい放題。
    そう、生ハム、てんちゃんのとこで見て、ニヤリでした。

    ▲mikuさん、お手数おかけします。私もね、「コメント失敗しました」っていう
    メッセージ、よくもらうんですよ。なんでだかわからないけど。。
    どの場所にどの絵を架ける、っていうのは難しいんだろうな、と、見て
    歩きながら思ってしまいました。展覧会で絵を見るのとは雰囲気がぜんぜん違います。

    ▲とらionさん、はい、そのとおりです。好きな食事+親友+美術館
    それとパリの景色も好きなんです。
    美術館の係りの人には、日本語がわからないから、「まだ、ついてくるわよ」とか「ずっと座ってると寝ちゃうから、ついてくるのかしら」なんて言いながら、笑ってました。
    2008年04月16日 21:58
  • aia

    ドニの美術館、ついに行かれたのですね~。私は目と鼻の先まで行ったのですが(私のやってる作家がドニ美術館の通りをはさんだ向かいに住んでいたので)、ドニに興味のない連れもいたので、その日は入らずじまいでした。いつか行きたいです。
    2008年04月18日 08:33

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