クリーブランド美術館展

 六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーに 「クリーブランド美術館展」を見に行った。



アメリカ、オハイオ州クリーブランドにある美術館が改築工事のための巡回展。

クリーブランドに行くことはなさそうだし、広告に使われている↑ルノアール作品「ロメーヌ・ラコー」嬢の気品あるきりっとした美しさに魅せられて出かけた。

美術館はすいていて、入り口をはいるとすぐ、正面にこの絵が見えた。
近くで見ても実に美しい。

これはルノワールが23歳の時、初めて描いた肖像画。顔はアングルの肖像画を手本にし、
髪の毛はルーベンス、
白いドレスの厚塗りはクールベ、左後方の背景の花模様はコロー、と
いろいろな技法をとりいれ、、、と説明が書いてあった。
顔がアングル風、なるほど!だった。

 



花の絵で有名な アンリ・ファンタン・ラトゥール の「ルロール夫人」
背景の陰影がみごと。

隣に別の画家による同じモデル「ルロール夫人と子供」の肖像画があった。
当然、
同じ顔立ちだが、きつい顔で動きがある。
私が描いてもらうなら、ファンタン・ラトゥールを選ぶけど。。(笑)

 

モネが最後まで手元においていた作品。「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」
雪の日、庭に立つモネ夫人。白い雪に赤いスカーフがはえている。
この作品が完成してすぐモネ夫人が亡くなったため、モネはこの絵を大切にしていた。
モネ夫人の顔がはかなく淋しげに見える。

ルドンの花。モノトーンの世界が多いルドンだけど、これは華やか。

マネの描いた「ベルト・モリゾ」と、ベルト・モリゾが読書する姉を描いた絵が並んであった。
画風が似ている。

 



このセザンヌは、真ん中の泉に当たる光の具合がキラキラと実にみごとだった。
(写真ではわかりませんね)

作品数が彫刻もふくめ60点と少ないので、すぐに見終わるが、心に残る作品が多かった。
私が以前にブログに書いた、「バルラッハ」の彫刻、「セガンティーニ」の布に描いた絵を
見れたのも、うれしかった。

☆11月26日まで開催中。

☆りんこうさんが「ロメーヌ・ラコー」に魅せられて、カタログを買い、さらに絵の具を買った話、
おもしろいですよ。↓

http://blog.so-net.ne.jp/rinkou/

 ☆りゅうさんから、これを見てから、Bunkamuraの「ピカソとモジリアニ」に回るとイイと
すすめられていたけど、疲れてダメでした。
りゅうさんの記事は、トラックバックで見に行ってください。くわしく書いてあります。

この記事へのコメント

  • katsura

    先ほどはご来訪、ありがとうございました。
    ルドンって、ふらふらと波間に漂うような浮遊感があって好きです。
    2006年10月19日 06:23
  • いっぷく

    行く先々で美術館は時間の余裕がある限りまわってみたいほうですが、オハイオ州クリーブランドまではいつ行けるかわからないし、いけない可能性が高いというようなときに、気になる画家の作品が見れるとなればうれしい機会ですね。
    「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」は印象的。セザンヌは写真でみてもセザンヌの色をしていますね。
    2006年10月19日 06:51
  • coco030705

    こんばんは。
    Taekoさんのブログで美術鑑賞させていただきました。
    ルノワールの絵いいですね。23歳のときの作品ですか。やっぱり天才だったんですね。モネの絵もエピソードを読むと、ほんとうにモネ夫人の顔が寂しげに見えます。ルドンの花の絵、すてきですね。他の花の絵も見たことがありますが、
    とっても美しかったです。ちょっと幻想的で。セザンヌの風景画、いいですよね。
    彼が生前はほとんど認められることがなかったということが、信じられません。
    こじんまりしていますが、いい美術展ですね。関西に来ないのが残念です。
    2006年10月19日 18:13
  • berry

    六本木ヒルズは去年の夏の夜に行ったきり . . .
    夜の六本木好きです。(笑)あっ!関係ないですね。
    もう1年も行ってない!?!?やばい!
    11月26日まで開催だったら、ランチも兼ねて行きたくなりました。
    芸術の秋、本物に触れる、いいですね〜。
    嬉しい情報ありがとう〜♪
    陰影ある背景の「ルロール夫人」、なぜか強く印象に残りました。
    2006年10月19日 21:00
  • 雛鳥

    この展覧会もチケット入手済みなのですが、
    中々時間が取れないまま、1ヶ月程経過してしまいました…。
    でも、Taekoさんの記事を読んで、近いうちに必ず行こうと誓いました!
    (ベルギー王立美術館展もまだ行っていないのですが…。)
    モネの作品は、夫人の赤いスカーフがとても印象的ですね。
    エピソードも悲しくて、とても気になる作品です。
    2006年10月20日 00:28
  • yk2

    モネにこんな寂寥感を持つ色のない作品が有るのを知りませんでした。まるで陽光を感じられない、灰がかった白い画面が余計に悲しく思えますね。この窓を見る度に、夫人がもうそこには居ないんだってことをモネは繰り返し思い出したのかな、なんてね。
    2006年10月20日 00:37
  • りゅう

    こんばんは。セザンヌ素敵でしたね~キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
    ゴッホ《大きなプラタナスの木》は、昨年この場所で開催されたフィリップス・コレクション展の時に展示されていた《道路工夫》のファースト・バージョンなんですよ~
    ルノワール《リンゴ売り》のとてもよく似た構図(右側の子の顔の向きが違う)のものが長島美術館(鹿児島)にあります。HPの画像はイマイチですが、TVで見たときは今回のものに色合いがとてもよく似ていました。どっかでみたなーって思ったら・・・(^_^;)
    やっぱり、目玉はルノワール《ロメーヌ・ラコー》ですかね。
    それにしても、ちょっと作品数が少ないですよね~ヾ( ̄ー ̄)ゞ
    2006年10月20日 01:13
  • TaekoLovesParis

    ☆nice&コメントありがとうございます
    ▲katuraさんへ
    小説家のkaturaさんらしい詩的表現ですね。漂う感じ。。。きっとルドンの魂が浮遊していたからでしょう。きれいな色づかいになってくるのは晩年。
    Sous le pont Mirabeau,,ミラボー橋のアポリネールと親交が深かったことでも
    有名なルドンです。

    ▲いっぷくさん、その通りです。オハイオは行く可能性、、少ないですもの。
    でも、いい作品がさらっと展示してあり、ゆっくり見れてよかったです。六本木
    は都心といってもちょっと不便で敷居が高い感じがするので、すいている時が
    多いんですよ。
    こんなにボケてる写真でもやはりセザンヌってわかる、独特の世界ですよね。
    実物は離れて見る方が良さがわかりますね。

    ▲Cocoさんへ
    ルノワールは人物画の天才ですね。描かれている人の暖かみも伝わって
    くるし。モジリアニ、ピカソ、ボナール、モーリス・ドニ、カンジンスキーなど
    他にもいい作品がひとり1点づつありました。

    ▲berryさんへ
    これは憂いを含んだ美しい「ルロール夫人」なのに別の画家が描くと、
    美しいけど、、違ったタイプになってしまいます。対照がおもしろいです。
    ヒルズの1階のロブションでは、ケーキとパンを売っていて、なかなか
    おいしかったです。今、パリではやっているという紅茶、その昔ロシア宮廷
    御用達だったというぶんも売っていました。

    ▲雛鳥さんへ
    モネ夫人、近くで見ると、かなり大雑把に描かれているようなのに、ちょっと
    離れてみると、淋しさが伝わって胸がしめつけられます。ぜひ、ご覧になって
    ください。

    ▲yk2さんへ
    赤いひなげしの野原で息子といっしょのパラソルをさした絵、のような幸せな
    時代もあったのに、、、冬にはこんなに寂しげになってしまい、、寂寥感、
    その言葉通りですね。さっと一瞬を捕らえて描いた絵。黄色や青のない白を基調にした単純な色合いが余計に心に響きますね。
    2006年10月20日 02:14
  • Taekoさん おはようございます。
    オハイオ州クリーブランド 流石のTaekoさんも行くことはないとおっしゃってるので、ちょっと調べてみました。五大湖エリー湖の河畔に位置する大都市らしいですね。特に私が注目したのは大リーグ 「クリーブランド・インディアンズ」 の本拠地、ワールドシリーズ2回優勝(1920、1948)最近では2001年にプレーオフ出場しています。西部ライオンズの現所属リーファー選手来日前はインディアンズ3A所属だったそうです。ただ、現在は日本人選手は所属してないそうです。
    ところで、。上の絵の中では「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」が一番気になります。そう言う逸話を聞くとますます気になります。
    2006年10月20日 08:12
  • シェリー

    こんばんわ。どれも素敵な女性の肖像画ですね。
    全部それぞれに個性があるし・・・写真とはまた違った魅力。
    いつもTaekoさん美術館で素敵な世界を拝見させていただいて、勉強になるのはもちろんとっても楽しいです。そしてやっぱり実際見てみたくなりますね。
    ファンタン・ラトゥールさんに描いてもらったTaekoさんの肖像画・・・私も観てみたいなぁ☆
    2006年10月20日 23:25
  • ご無沙汰しています。
    ルノアール、マネ、セザンヌ。。。私好みの画家ばかりです。特に、ルノアール初の肖像画は興味津々。やさしいタッチがルノアールらしくてよいです。
    このセザンヌはどこの景色でしょうか。前回の南仏旅行では、霧の合間から浮かび上がったセントビクトワール山には鳥肌が立ちました。このあたりでしょうかね。。
    2006年10月21日 02:31
  • こんにちは。「赤いスカーフ、モネ夫人の肖像」など作品の背景には必ず物語があって。こうしてあらためて書き留めるという事って作者にとっても喜びであったり本当に素敵な事だなとつくづく思います。taekoさん、これからも楽しみにしてますね!
    2006年10月21日 12:20
  • モネの絵は是非見たいと思いました!
    今回アップされている絵は他の絵も好きな感じです。
    しかし、六本木ヒルズ。。。
    あそこに行くと、ハワイとかのショッピングセンターに
    来たみたいでどうも好きになれません(笑)
    2006年10月21日 21:55
  • noriko

    マネの「ベルト・モリゾ」はいま神戸に来ていると思っていたのですが、何点かあるのですね。アングルが好きなのでこのルノアール作品「ロメーヌ・ラコー」も観てみたくなりました。
    2006年10月21日 22:12
  • TaekoLovesParis

    てんとうむしさん、神戸のオルセー美術館展に来ているのは、「すみれのブーケを持つベルトモリゾ」、気品があって大きな瞳が愛らしいぶんですよね。この間、神戸で行ったレストランでちらしを見て(まだ開催前だった)、これが来るのね、と思ったのです。このオルセー展は来年、都美術館に巡回しますよ。
    で、ここクリーブランドのモリゾは、もっと地味な横顔です。
    てんとうむしさんの所で紹介されていたロートシルトのサイト、ラベルの絵を
    ひとつひとつ見て楽しかったです。ニキ・ド・サンファールのが1997年でした。
    2006年10月22日 00:04
  • TaekoLovesParis

    TAROさん、六本木ヒルズ、ショッピングセンターにしては高すぎるし、ゆっくり
    時間を過ごしたいと、、、私もあまり思わなくて。。。恵比寿ガーデンプレイスが映画館、写真美術館、ホテルのコーヒーハウス(六本木ヒルズのハイアットほど敷居が高くない)とデパートがあって、何よりも高層じゃないから好きです。
    2006年10月22日 00:11
  • TaekoLovesParis

    sakikopさん、記憶に残る絵と残らない絵がありますよね。↓のトラックバックの
    りゅうさんが一点、一点、解説して下さってるのを読んだら、もう覚えていない絵がいくつかありました。今日、活躍した日ハムの新庄が「記録に残るより記憶に残る選手になりたい」と大リーグに移籍した時、言ってたけど、私、たくさん展覧会に行っても、記憶に残っている絵、どれだけあるのかな、、と思いました。
    きっとsakikopさんのオフィスも記憶に残る作品づくりを目ざしていらっしゃることでしょう。
    2006年10月22日 00:20
  • TaekoLovesParis

    Ikesan、読んでいるブログにIkesanのところを登録してあるんだけど、出てこないから、ぬけちゃったかなと何度かのぞいたけど、更新されていませんでした。
    きっとお忙しいんだろうな、と思っていました。
    そうです!エクスオンプロバンスのあそこです。だってセザンヌは貧乏だった
    から旅行などできなくて、あの土地から離れていないそうですから。車で走ると
    まさにセザンヌの世界ですよね。私も感激しました。
    2006年10月22日 00:25
  • TaekoLovesParis

    シェリーさんったら~私の肖像画が見たいだなんて(笑)。ファンタン・ラトゥールくらいの人に描いてもらったら美しいですよ~。だって、絵描きさんが言って
    たけど、肖像画って本人にそっくりに描くと不評で、これじゃ詐欺だろうと思う
    くらい美しく描くと、満足してもらえるんだって。
    パリのモンマルトルの丘には似顔絵描きの人がたくさんいて、私の友達も描いてもらったんだけど、大学時代の彼女の顔の絵だったのよ。それくらい若く描くことがプロの技なようです。
    2006年10月22日 00:39
  • TaekoLovesParis

    kitaさん、調べてくださってありがとう。クリーブランド・インディアンズって知らなかったです。優勝って1920年、1948年、さすがアメリカの野球の歴史は古いですね。西武のリーファー、フェルナンデスの代わりに今年来た選手ですね。
    あごヒゲの。最後の方では時々出ていたけど、カブレラとはだいぶ違いますね。新庄がいるから日ハムを応援した日本シリーズでしたが。。でも頭に
    ミットを載せて3人でのパフォーマンス、おかしかったですね。
    2006年10月22日 00:54
  • TaekoLovesParis

    Taddyさん、日本で巡回展をすると儲かるから、今、世界中の美術館が、改装
    のたびに日本で巡回展をするんですよ。ロシアのエルミタージュは所蔵品が
    たくさんあるし、外貨がほしいから、エルミタージュ展は、しばしばやっています。そのおかげで東京にいながらにして、いろいろな名作が見れるのは、
    うれしいです。バンクーバーの美術館事情もそのうち紹介してくださいね。
    2006年10月22日 01:03
  • julliez

    ルノワール、やっぱりいいなぁ。
    合宿先の近くに彼のアトリエ・美術館・おうちがあるのでとても親近感があります。
    2006年10月22日 14:20
  • TaekoLovesParis

    julliezさんの合宿先は、reim、アルザス、それともブルゴーニュ?
    ルノワールはどこだったんだろう。。。
    2006年10月22日 22:49
  • TaekoLovesParis

    流星さん、お久しぶり、ふっか~つでよかったです。
    今、流星さんのクリーブランド美術館展行きの記事読ませていただきました。
    もりだくさんの一日で、私も得したような気がしました(笑)
    2006年11月09日 23:09
  • 流星☆彡

    お久しぶりです。m(__)m
    『りゅう』さんの記事から 巡って、こちらに伺いました!
    自記事では、絵画の感想は 全然 書かなかったのですが、復習がてら
    貴女ブログ記事を 拝読いたしました。「ルロール夫人」の肖像画…描く人なら
    では…の特徴が比べられて、面白かったですネ。
    美術館・展示のために 現地(=海外)に飛んでしまわれる(!!)貴女ならでは
    …の 内容の濃い記事を 楽しませて頂きました~♪(^_^)/

    前後しますが、コメントを書き換えさせていただきました。
    こちらから伺っておきながら、大変 失礼いたしました。m(__)m
    2006年11月09日 23:54

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クリーブランド美術館展
Excerpt: 六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーで開催中の『クリーブランド美術館展-女性美の肖像-』を観に行きました。この展覧会はクリーブランド美術館の増改築工事に伴い実現した国際巡回展として、同館が所蔵する..
Weblog: 隆(りゅう)のスケジュール?
Tracked: 2006-10-20 01:18

モネ夫人の肖像 / クリーブランド美術館展を観る
Excerpt: 11月5日(日曜日)  いつも拝読させて頂いているtaekoさんのBlogで知った、クロード・モネの一枚の絵。  それをどうしても実際に自分の目で見てみたくって、六本木ヒルズの森美術館で開催され..
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Tracked: 2006-11-07 03:44