エミール・ガレ展(ガラス工芸)

 エミール・ガレは19世紀末のアール・ヌーヴォーのガラス工芸作家。
エッフェル塔が建設された1889年のパリ万博で圧倒的な評判を得たガレの作品は、
国を代表する贈物として、ロシア皇帝に献上されました。

それらは、エルミタージュ美術館の収蔵品となり、今回、渋谷の東急Bunkamura
ミュージアムで、
そのお披露目展です。(8月27日まで)

↑の写真は、おみやげに買った書類をいれるクリアファイルですが、
この展覧会の目玉作品、「トケイ草もようの花器」の写真。右はガレのサイン。
美しいだけでなく、非常にていねいな凝ったつくりで、ずっと眺めていたいほど。
裏側にはボードレールの詩が、書かれて(刻まれて)います。

          

会場の照明が上手で、ガラス器がまばゆく光輝いています。
献上品ですから、、どれもこれも、ため息のでる美しさ。

↓の花器が一見してガラス器に見えないのは、「マルケトリー」という技法で、
ガラスパーツをガラスの上に寄木細工のようにはめこむ象嵌。
もう一層かぶせた感じになり、重厚でガラスの透明感はありません。

   

 モチーフは、アール・ヌーヴォーなので、花、木、昆虫(カエルやとんぼ、蝶)。
ジャポニズムの時代だったので、日本の菊の花や梅、アジサイのもようもありました。

 ガレはガラス職人の息子だったので、描きたいものをすべてガラスを通して表現した、
と私には思えました。花器の下の方に模様を厚塗りすることによって、遠近法を表現、
空、山、湖、森がある山岳地方の風景画を施した背の高い花器はみごとでした。

 ガレはロレーヌ地方のナンシーの出身。ナンシーにはアールヌーヴォー様式の建物
、家具、ガレのガラス器のナンシー派美術館があります。
 一昨年、アルザスへの列車旅行の帰り、ナンシーで降りて、タクシーで行ったのですが、
火曜日は休館日でした。だから、美術館は外から眺めただけ。庭もきれいそうでした。
ナンシーの街は、ロココ、アールヌーヴォーの建物がたくさんあり、スタニスラフ広場の
ロココ様式の門は威厳があって重厚、広い整備された芝生の公園が続きます。
緑の木立の中を散歩しました。ここは世界遺産だそうです。
近いうちに、リベーンジです。

{作品の写真は、パンフレットをスキャンしたものです}

この記事へのコメント

  • yk2

    taekoさん、こんばんは。
    これ、今週末にプライスコレクションの若沖とどっちを観ようか迷ってたトコです。
    アールヌーボーって不思議な魅力が有りますよね、フランスのフィルター通した日本の美。植物や虫がごく自然で演出過剰じゃないのが感覚的に近いのかな。

    オルセーとかに行っても、つい絵ばかりを優先しちゃって、アールヌーボーのフロアってゆっくり落ち着いて観てこられないので、Bunkamuraではじっくり鑑賞して来たいと思ってます。

    それにしても、ナンシーは残念でしたね。休館日、調べないで行っちゃったんですか?(^^。
    2006年07月26日 21:56
  • いっぷく

    ガレの作品、特に今回の写真にあるものはゴージャスですね。
    見ていて飽きない美しい世界が表現されています。
    アールヌーボー期のアーティストの中でも抜きん出ていますね。

    陳列されている場所の照明が美しさを引き立てていたのはよかったですね。
    2006年07月26日 22:33
  • berry

    いつ頃リベンジかな?(笑)

    アールヌーボーの美しさは実物を見たいという好奇心を呼び起こします。
    でも、写真でも感動します。それくらい人を惹きつけますね。
    TaekoLovesPa.. さんは素晴らしいモノを目にしたのですね。
    本物のガレの作品を目の前にすると震えがきそうです。
    2006年07月27日 07:25
  • coco030705

    おはようございます。
    すばらしいですね、ガレの作品集。私も大好きです。
    今うちのカレンダーは、偶然にもガレのカレンダーです。
    これは諏訪湖の北澤美術館の収蔵作品をカレンダーにしたものです。
    ここは湖のほとりにあって、こじんまりしたいい美術館ですね。
    でも、夏は人が多くてちょっと雰囲気が・・・。
    Taekoさんはまたフランスへ行かれるのですか。私もいつか行ってみたいと
    思っています。
    2006年07月27日 08:26
  • シェリー

    Taekoさんこんにちは。
    綺麗ですね~。専門的なことは全くわかりませんが、
    アールヌーボーと聞くとなんとなくガレの綺麗なランプのようなものを連想してしまいます
    ガラス工芸品には惹きこまれるような魅力を感じます。
    私の住んでいる北九州に門司港レトロという観光名所があるのですが、
    その中の「門司港アートギャラリー」というところで
    アール・ヌーヴォーやアール・デコの作品を鑑賞できます(たしか無料)
    またゆっくり過ごす時間を作って足を運んでみたくなりました。
    Taekoさんのような方とご一緒できたら色々教えていただけて楽しいだろうなぁ。(←自分で勉強しなくちゃ・・・ですね☆)
    2006年07月27日 13:05
  • Taekoさん こんばんは。
    エミール・ガレ展 
    Taekoさんにはいつも教えられます。前から不思議に思っていたのですが花器が陶器のように見えるのは「マルケトリー」という技法なのですか。
    また、この技術アールヌーボー時代からあった既存技術なんですね。
    時たま見るので新技術かと?思っていました。
    知らないとは怖いですね。
    2006年07月27日 21:10
  • TaekoLovesParis

    ☆nice&コメントありがとうございます
    ▲yk2さん、若沖とガレでは比較できないけど、華やかさから言ったら
    ガレですよ。だって皇帝への献上品。当時、力を増してきたドイツに攻められた
    時のことを考え、露仏同盟を結び、せっせと贈物をする。そのために選ばれた
    品ですから、私が今まで見てきたガレ作品よりず~~~っと華麗。
    <植物や虫がごく自然で演出過剰じゃない>
    →そうなんですよ~。よく見ると机の角にかなり大きなトンボが彫られて
    いたりするのに不自然じゃない。

    イタイ御指摘。調べませんでした。ナンシーには絵画中心の市立美術館と、ガレの家具、ガラス器の美術館と2つあるから、どっちかあいていると思ったのが、甘くて、2つとも休館でした。

    ▲いっぷくさん、
    <特に今回の写真にあるものはゴージャスですね。>
    →深い知識と鋭い見る眼のいっぷくさん、まさにその通りでした。
    ゴージャスの一言に尽きます。

    ▲berryさん、リベンジって書いておけば、必ず行くだろうって、メモです。。
    いつ行けるかなぁ。きっと来年。
    ひとつひとつが、その時代の技の粋を集めて作った見事さ、でした。
    トルコ風、中国風、ベネチア風など、ガラス器のきれいなもの全部
    集めました、という感じでしたね。
    2006年07月28日 00:53
  • TaekoLovesParis

    つづき
    ▲Cocoさん、カレンダーが、、、偶然でしたね。
    私は「世界の車窓から」のカレンダーなので、毎月、めくるたびにその場所へ
    行きたくなってしまいます。
    北沢美術館、夏は混むんですか。私は季節忘れたけど、平日に行ったので、すいていて、隣の「サンリツ美術館」もゆったり見ました。東京からだと
    諏訪湖は、ちょうどいいドライブの距離なんですよ。

    ▲シェリーさん、ガラスははかないだけに美しさもひとしおですね。
    特に夏は涼しげでいいです。
    門司港ホテルの建物がすてきだから泊まりに行こうと誘われて、都合が
    つかず断ったら、その友達から「今、門司港ホテル」って夜、電話があって、
    すごくいい所と言っていたのを思い出します。いつか、、て思ってます。

    ▲kitaさん、そんなふうにおっしゃっていただけて、うれしいです。
    知らないと、これから知れることがたくさんあって、ワクワクです。
    歴史をもっと知っていたら、っていつも思いますが、思って何十年、、
    で、食べてる時間ばかり長い(笑)
    2006年07月28日 01:10
  • バニラ

    わたしは鎌倉の美術館で偶然ガレと対面してきました。
    エナメルガラス花器とプラム文様花器の2点だけでしたが
    そこで観ることができると思っていなかったので新鮮でした。 
    やっぱりガレ展、観に行かなきゃ!とその時思いました。
    2006年07月29日 01:16
  • yk2

    taekoさん、こんばんは。
    若沖よりはまず、ガレを見よ!ってお言葉を頂戴しましたので本日出掛けて参りました。

    パンフレットにも使われている菊文花器、実物を目の前にすると、本当に溜め息が出そうでした。灯りがあたると、すっごく綺麗。ガレって色合いやモチーフから女性の支持の方が高そうだけど、花や昆虫のデッサンがそのまま作品になっちゃってるから、実物は写実的でかなりクール。媚びてないところが格好いいなぁ~、とさえ感じちゃいました。トンボの脚のテーブルなんて、すごい発想!。

    ところでその菊文花器の右のヤツ。
    これにシャンパン(色的にはヴーヴクリコか?)入れて冷やしてみたいと思ったのは僕だけかな?・・・>ばか>ぢぶん。
    2006年07月29日 21:29
  • TaekoLovesParis

    ▲バニラさん、鎌倉の美術館で、ガレをご覧になったのですね。
    ガレは若い頃からせっせと作っているので、作品がかなりあります。
    そんな中でも、bunnkamuraの展覧会は、秀逸。
    ぜひ、ご覧になってください。
    あ、↓でyk2さんも、ほめていますよ。
    *ナイスとコメントありがとうございます。

    ▲yk2さん、速攻お出かけいただき、さらにコメントまで、うれしいです。
    威厳を保ちながら、キラキラっとまばゆく輝いていますよね。
    その前を通り過ぎたあとも、気になって、何度かふりかえりました。
    <写実的でかなりクール。媚びてないところが格好いいなぁ~>
    →たしかにそうですね。yk2さんらしいちょっと間をおいた視点がいいな。

    yk2さん、あの器にシャンパンをいれる。。。(笑)お~すごい発想。
    気泡を見て楽しむ? でも、あっと言う間に空気とまじりあって、、どうなん
    でしょうね。cdm先生にきいてみたいです。
    あの色あいをじっと見てたら、クリコが浮かんだんでしょ? 
    最後の反省文(語)、、笑えました。
    2006年07月29日 22:55
  • yk2

    taekoさん、ちがーう、。
    大きさからしてどうしたって氷バケツでしょ!!。
    あれで飲んでみたいワケじゃなくて、ボトルを入れて冷やしてみたい、ってコトです。それじゃまるで大相撲の優勝力士の大杯じゃないですか(爆笑)。
    2006年07月29日 23:05
  • TaekoLovesParis

    ▲yk2さん、ごめん、ごめん、大相撲の、、うん、わかる、持ち上げて
    と~っとっと、って飲むぶんでしょ(大笑い)
    きのう、デカンタージュって教わったから、デカンタージュのシャンパンバージョンをするのかと、勘違い。ワインクーラーみたいに使うのね。
    2006年07月29日 23:29
  • りんこう

    ガレというと「なんとか鑑定団」みたいな番組を思いだしてしまいます。
    そして、パリの蚤の市で掘り出し物でガレとかあったりするのかしら。
    などと想像してしまうのです。そんなことはめったにないのでしょうけれどね。
    2006年08月02日 22:21
  • TaekoLovesParis

    りんこうさん、蚤の市には、ほんものじゃなくて、「ガレふう」があるのでは?
    2006年08月05日 01:15
  • TaekoLovesParis

    Taddyさん、ガラス器は夏には涼しげでいいですよ。
    さらに、皇帝への献上品というのは、時代の粋を集めたものですから、
    その美しさは類まれなるものでした。
    ベネチアングラスもありましたが、繊細だから保管、輸送が大変ですよね。
    2006年08月13日 09:03
  • 雛鳥

    この展覧会も行きたいと思っていましたが、
    私は若冲を選んでしまった派でした…。
    ガレの繊細なデザインと、光を色彩に加えたような色使いには憧れます。
    ナンシー、素敵な街なんですね。
    数年前フランスへ行ったときには、パリ、ロワール、ノルマンディーで
    駆け足観光でしたので、いつかまたフランスへ行けたら(行きたいですが)、
    ナンシーにも是非行ってみたいです。
    2006年08月16日 00:11

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「エルミタージュ美術館秘蔵 エミール・ガレとドーム兄弟 ~フランスからロシア皇帝への贈物~」展
Excerpt: なんて長い名前なんでしょう。。。 渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムに「エミール・ガレとドーム兄弟」展を観にいってきました。アールヌーボー時代のガラス工房で双璧をなすガレとドーム、いやぁ流石..
Weblog: ぶんじんのおはなし
Tracked: 2006-08-02 09:16